週刊サッカーダイジェスト代表担当が探る――日本代表候補合宿の成果

2014年04月10日 週刊サッカーダイジェスト編集部

候補たちの滑り込み最終メンバー入りの可能性は?

 ワールドカップのメンバー発表までおよそ1か月のタイミングで開かれた今回の日本代表候補合宿で、アピールに成功したのは誰か――。最終日に行なわれた流通経済大との練習試合のパフォーマンスをもとに、“候補たち”のメンバー入りの可能性を探る。

 すでに大枠のメンバーが確定しているなか、週刊サッカーダイジェストは、残り枠は5つと予想。その内訳はCF(1)、攻撃的MF(2)、ボランチ(1)、CB(1)である。今回の合宿でもそのポジションに注目したが、各エリアに可能性を感じさせる選手が存在した。
 CFでは2本目に出場した川又堅碁がインパクトを放った。右からのクロスをボレーで合わせる豪快な一撃を披露する一方で、前線からのボールチェイスも忠実にこなした。本人は「とりあえず決めただけ」と納得のいかない様子だったが、身体の強さや左利きであるという点も含め、今後もザッケローニ監督が注目していく存在となりそうだ。

 ボランチで際立ったのは青山敏弘。「アピールよりもコンセプトの習得」に重きを置くスタンスのなか、持ち味の「縦への意識」を体現。豊田陽平への絶妙なフィードをはじめ、多くの攻撃の起点となっていた。

 CBでは塩谷司の適応力の高さが目に付いた。「初めて経験した」というSBではタイミング良いオーバーラップでサイド攻撃を活性化。途中からCBに移ると精度の高いビルドアップでリズムを作った。Jリーグでも好調を維持しており、これまで伊野波雅彦が務めていた「DFのユーティリティー枠」を奪い取るかもしれない。

 攻撃的MFではジョーカータイプとして、南野拓実が名乗りを上げた。コンセプトの習得にはまだ時間を要するだろうが、なにより1得点・1アシストという結果を出したことが大きい。過去の招集の傾向からも、ザッケローニ監督は「ジョーカー枠」に、若くて活きの良いタレントを抜擢したい意図が見える。高い攻撃性に加え、「強心臓」と「献身性」も備えた19歳のアタッカーが、23人枠にすべり込んだとしてもおかしくはないだろう。

 攻撃的MFのもう一枠、岡崎慎司のバックアップタイプの発掘作業は、成果を生み出せなかった。試されたのは工藤壮人と石原直樹だったが、ともにサイドに張るプレーが多く、岡崎が見せるような中への動きに欠けた。工藤はこの枠の一番手ではあるものの、これまでの起用法を見ても、ザッケローニ監督は決め手を欠いている印象。めぼしい人材が現われなければ、この枠を一枚削りCF枠を増やす可能性も考えられる。その場合、今回招集されなかった大久保嘉人や佐藤寿人といった実績のある“スペースキラー”の抜擢もあるかもしれない。

文:原山裕平(週刊サッカーダイジェスト編集部)

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