【大宮】最下位相手のクリーンシートを手放しで喜ぶなかれ。6試合ぶり完封勝利にも手応えと危機感

2017年08月14日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「結局、今日も最後は押し込まれる展開になった」

身体を投げ出してシュートブロックするなど、最終ラインで奮闘した河本。完封勝利にも反省の言葉を口にした。写真:田中研治

[J1リーグ22節]大宮 1-0 新潟/8月13日(日)/NACK
 
 6月25日に行なわれた16節の広島戦以来(3-0)の白星。これは同時に、同試合に続く伊藤彰体制移行後2回目の完封勝利でもあった。
 
 17節の横浜戦(1-2)から、18節の札幌戦(2-2)、19節の神戸戦(1-3)、20節の浦和戦(2-2)、前節のFC東京戦(1-2)と5試合連続で複数失点中だっただけに、ひとつ結果を残せた意義は大きい。
 
 指揮官は試合後の記者会見で、「『ゼロで抑える』というひとつの目標があった。山越(康平)を入れて、そのまま逃げ切れたのは次につながると思う」と無失点であったことを強調した。
 
「(5バックにして)もうちょっと撥ね返せるかな、というところ。そこから攻撃にシフトしてゲームをコントロールできたら、というところではまだまだ物足りない。ただ、ニアへの速いボールでは山越が何度か壁になってくれていた」(同監督)
 
 江坂任も続く。

 「ゼロで抑えられたのはチームとしての収穫。終盤にあれだけクロスを上げられて、CKも多かったけど、全部弾き出せたのも自信になる。最後の最後まで全員が戦っていて、まとまりのあったゲームだった」
 
 また、インサイドハーフに入ってパスワークの潤滑油となるだけでなく、スペースへの秀逸な飛び出しで相手守備網を攪乱した茨田陽生も手応えを感じているようだった。

「みんなが最後まで集中力を切らなかった。特に得点直後、ここ最近はゴールを決めてすぐに失点していたので、そこは注意していた。我慢できていたんじゃないなかと思う。

  相手のやりたいことや特長をチームの全員がしっかりと捉えていて、ロングボールなどの対策がしっかりとできていた。セカンドボールに対しても意識が高く、縦パスを入れられた際のプレスバックもできていた」
 
 もちろんクリーンシート達成は評価されるべきであるし、身体を張って耐え切れたことも成果のひとつだろう。ただ、アウェーに乗り込んできた対戦相手が構えていたのは "リーグ最弱"に近い"矛"だった。
 
 新潟の22節終了時点での13得点は、甲府の12得点に次ぐリーグワースト2位。直近の2試合(20節の横浜戦、21節の川崎戦)ともゴールネットを揺らせず、どちらも0-2で敗れている。
 
 警鐘を鳴らしていたのがCBの河本裕之だ。
 
「結局、今日も最後は押し込まれる展開になってしまった。点差的に仕方ない部分もあるが、そういう流れにならないように、ボールを保持しながら時間を使っていけたらと思う。
 1-0という結果だが、61分にCKからのヘディングシュートを任がゴールライン際で止めてくれたり、危ないシーンもあった。そこで決められていたら勝てていなかったし、細部を詰めていく必要がある」
 
 被シュートは10。上位陣はふた桁も打てば、最低でも1回は得点へとつなげてくる。勝って満足せず、「ゼロ」を続けられるように気を引き締めなければならない。15位の札幌、14位の甲府と勝点1差になったとはいえ、まだ降格圏に沈んでいるのだから……。
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)

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