FKから2アシストした中村俊輔の「観察眼」。日本代表GK東口順昭の癖を見抜く

2017年08月13日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

試合を決定づけた2点目。「GKは速いボールが来ると思っていたようだった」

FKから2アシストの中村俊輔。その左足で、チームに再び勢いをもたらした。写真:川本 学

 [J1 22節] G大阪 0-2 磐田 /8月13日/吹田
 
 磐田の中村俊輔がFKからの2アシストで、2-0の快勝をもたらした。これで今季のリーグ戦、G大阪から2勝。6連勝のあと2試合勝星がなかったが(1分1敗)、再び勢いを取り戻す勝点3を掴んだ。
 
 まさに伝家の宝刀――俊輔の左足だった。立ち上がりから劣勢を強いられたなか、19分、中村俊が敵陣の左サイドで遠藤に倒されて、FKのチャンスを掴む。
 
「なかなかいい攻撃ができないなか、たまたまだけど、決めることができた」

 そう磐田の背番号10は謙遜したものの、狙いどおりの一撃だった。中村俊は説明する。

「身長がそこまで大きくなくても、高さを維持できるゾーンを広く保てる選手がウチはけっこう多く、僕としては狙いやすい。(大井が決めた1点目は)真ん中の上を狙った。主導権は与えても、雰囲気だけは相手に与えない。そういう6連勝した時にできた土台を生かして、勢いで決められたのは大きかった」
 
 その後は、G大阪にボールをキープされる展開が続いた。それでも大井を軸にした守備陣の粘り強い対応と、カミンスキーのスーパーセーブなどでゴールは許さない。

 迎えた73分。今度は右サイドで先制点とほぼ同じ距離から、再びセットプレーのチャンスを掴んだ。
 
 そして、ここで光ったのが中村俊の「観察眼」だった。それまで何度も訪れていたCKを含めたセットプレーの場面で駆け引きをしていた日本代表GKの東口順昭の動きを見切ったのだ。
 
「2点目は、多分、GKは速いボールが来ると思っていたようだった」
 
 この試合中の動きやポジショニングからそのように察知した中村俊。10数本あるゴルフのクラブから最適な一本を選ぶかのように、ゴールの確率が最も高い正確なショットを放った。
 
「少しフワっとしたキックにして、DFを後ろに下がらせた。滞空時間の長いボールはアダ(アダイウトン)が得意だったので、そこを生かせた」
 
 実際、2点目のゴールシーンを振り返ると、まず東口はニアを突かれた時に備えてステップを踏み、ボールが中央に飛んで来ると前へ一歩出てしまう。中村俊が言うように、「速いボール」を予測していたことが分かる。

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