【U-17代表】世界への切符を手にできるのか。鈴木冬一は当落線上で必死にもがき続ける

2017年07月14日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「先のことは考えずに今回の代表活動に集中するだけ」

練習試合の1本目は右サイドハーフ、2本目は左SBとしてアシストをマーク。ポリバレント性も示してみせた。写真:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)

 10月のU-17ワールドカップに出場できるかどうか。自身が当落線上にいることを、C大阪U-18の鈴木冬一は理解していた。だからこそ非常に強い危機感を抱えて、7月11日から新潟県新発田市で始まったU-17日本代表の合宿に臨んでいる。
 
 数日間のトレーニングと12日に行なわれたU-17北信越選抜との練習試合を経て、15日からは第21回国際ユースサッカーin新潟でU-17クロアチア代表やU-17メキシコ代表と対戦する。ここで結果を残せなければ――。必死にもがいている姿がそこにはあった。
 
「昨年はU-16アジア選手権で戦う姿をイメージできていました。でも、今はワールドカップに出場する自分が想像つかない。選ばれるか、選ばれないかのきわきわの位置にいるのは理解しています。だからこそ、先のことは考えずに今回の代表活動に集中するだけです」
 
 2016年9月にインドで開催されたアジア選手権では4試合・1得点。グループリーグ2試合目のキルギス戦、3試合目のオーストラリア戦、準決勝のイラク戦でスタメンに名を連ねた(準々決勝のUAE戦では89分からFC東京U-18の久保建英に代わって途中出場)。
 
 しかし、同年12月のチリ遠征、17年2月のスペイン遠征、5月のギニア・UAE遠征からは外れた。今回は久々の代表活動であり、最後にも等しいアピールの場なのだ。とにかく、がむしゃらにやり切るしかない。
 
 本人は「だいぶ気持ちを入れて頑張っています。結果にこだわりたい」と話したが、12日に行なわれたU-17北信越選抜との練習試合(35分×2本)では、その言葉通りに奮闘した。
 
 チームとして取り組む「ボール保持」を体現するため、とにかく縦横に走る。森山佳郎U-17日本代表監督の指示に反応するようにスペースに入り込んでボールを受け、叩き、再び動く。位置取りを修正しながら、もちろん最終ラインの裏へ走り込むことも忘れない。
 
 2本ともに出場した鈴木は、1本目では右サイドハーフを任されてアシストを記録した。2本目は残り10分ほどになったところで左SBとして途中出場。CBからポジショニングの指示を受ける場面もあったが、積極的な駆け上がりでゴールをお膳立てしている。
 
 格下相手とのゲームだったこともあり、アピールできた事実は気休め程度にしかならないかもしれない。それでも、ホッとしたのではないだろうか。きちんと数字を残したことに触れると、気の入り過ぎたような表情が少し和らいだ。
 
「自信になります。1本目はクロスを(味方に)合わせられたし、2本目はいつもと違うポジションに入ってアシストできた。左SBでプレーできたことは、ポジティブに捉えています。
 
 多くのポジションをこなせたほうがチャンスは広がると思いますし、SBもやったらやったで楽しい。ただ、そこで出るのであれば守備面のクオリティをもっと追求していきたい。サイドハーフで起用されたら、もっとゴールに向かうプレーをしたいです」
 
 細い細い綱の上を、必死にバランスを取りながら歩いている鈴木。落下してしまうのか、それとも最後まで渡り切って世界への切符を手にするのか。競争の荒波の中で必死にもがき続ける若武者の明日はどっちだ。
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
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