J1仕様を身に付けつつある清水。ホーム2連続完封勝利に見える変化とは?

2017年07月10日 前島芳雄

前半は相手のサイドハーフにほとんど仕事をさせず。

プロ初ゴールを挙げた鎌田(5番)は、チーム内がいい精神状態にあることを明かした。(C) J.LEAGUE PHOTOS

[J1リーグ18節]清水 2-0 G大阪/7月8日/アイスタ
 
「今日はみんな本当に気持ちが入っていて、勝ちたいという執念や泥臭さが素晴らしかったなと思います。詰めなければいけないことはたくさんあるけど、誰かがボケッとする時間帯もなかったし、精神面に関しては今までにない良い試合ができたと思います」
 
 
 18節のG大阪戦。自身のプロ初ゴールを決めるなど攻守両面で2-0の完勝に大きく貢献した鎌田翔雅の言葉が、この試合をもっとも象徴しているだろう。
 
 鄭大世とチアゴ・アウベスという強力2トップを欠き、その他にも怪我人が多く、突出した存在はいない。個の力という面では、中2日の疲労があるとはいえG大阪のほうが上だったはずだが、その差をチーム一丸のハードワークで覆し、2-0の完勝。16節のホーム・甲府戦でも1-0で勝っており、無失点でのホーム2連勝は、リーグ後半戦のスタートとしては最高の形だった。
 
 では、清水はどこが良くなってきたのか。
 
 ひとつは、やはり守備の安定が大きい。
「ガンバは中盤がダイヤ型になったりボックス型になったりするんですが、選手が限定する方向を分かってくれているんですね。右と左で限定の仕方が少し違っていても、今日はそこを上手くやってくれて(相手の)サイドハーフがあまり機能しなかったと思います」(小林伸二監督)
 
 その言葉通り、前半はG大阪のサイドハーフ=藤本淳吾と泉澤仁は効果的な仕事がほとんどできなかった。G大阪の動きが重く、ビルドアップが精彩を欠いたこともあるが、前半のシュート数は清水が12本を放ったのに対し、G大阪はわずかに1本と大きな差が生まれた。ポゼッションではG大阪に60%以上を許したにもかかわらず、ほとんどシュートを許していないという事実は、清水のディフェンスがよく機能していた証と言える。
 
 一方清水は、攻撃ではテンポ良くパスを回して突破する場面をしばしば作り、高さで上回っていたセットプレーから松原后のゴールで先制。その後もカウンターから効果的に押し込み、相手のミスを突いて鎌田の2点目につなげた。

次ページ隙なく逃げ切る戦い方を少しずつ学習してきたことが成果として現われてきている。

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