浅野拓磨、優勝&昇格決定戦で出番なく 「悔しさのほうが大きい」……だが収穫と手応え、2年目への期待は十分!

2017年05月22日 山口裕平

「自分が出て、試合を決めたいなと思いながら、ベンチにいた」

待ち望んだ瞬間だったが、喜びよりも悔しさのほうが上回った。新シーズン、この貴重な経験を活かすのは、果たしてシュツットガルトか、アーセナルか、あるいは……。浅野は左端。 (C) Getty Images

 5月21日(現地時間)ブンデスリーガ2部の最終節が行なわれ、ビュルツブルガー・キッカーズに4-1で勝利したシュツットガルトが優勝&1部リーグ昇格を決めた。
 
 浅野はベンチ入りするも最後まで声はかからず、3試合連続出場機会なしというかたちでシーズンを終えることになった。
 
 試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、浅野は小さくガッツポーズをしてピッチへ。直前にゴールを挙げたギンチェクを祝福すると、他のチームメイトたちの元へ向かった。
 
 ほどなくスタンドからファンがピッチに乱入し、浅野も揉みくちゃに。収拾がつかなくなったため、ピッチ上で予定されていた表彰式はメインスタンドで行なわれることになった。
 
 シュツットガルトの選手たちが、授与された優勝シャーレを次々と掲げるなか、浅野は最後までそこに加わることはなった。やはり、最終盤で試合に出られなかったからという遠慮があったのだろうか。
 
「遠慮というか……そうですね、試合に出て、自分のなかで喜んで終わりたかったんで……。今日は正直、悔しさのほうが大きいですね」
 
 こう、浅野は正直な心境を吐露した。シーズン終盤までは先発としてプレーしてきたが、最後の最後、一番"おいしい"ところでピッチに立つことができなかった。
 
「自分が試合に出て、試合を決めたいなと思いながら、ベンチにいました。でも、交代(カードを)3枚を使い切ってからは、悔しい気持ちのほうが大きかったです」
 
 ただ、シーズン全体を通してみれば、成長が実感できたシーズンだった。
 
 開幕後にチームに加わると、リーグ戦で出場可能だった30試合のうち26試合に出場し、4ゴール4アシストをマークした。自身が語るように、決して満足できる成績ではなかったが、クラブが残留を望むだけの結果を残すことはできた。
 
 浅野にも、その手応えはある。
 
「ホントに、色んな経験ができました。初めてのシーズンとして満足はできないですし、納得もいかないですけど、良いシーズンだったなとは思うので、これは今後に繋がっていくと思います」
 
「自分が海外でやれることと、やれないことがはっきりしたり、今も試合に出られていないなかで、色んな気持ちで日々練習したり……。海外ってこんな感じなんだ、というのを感じさせられました」
 
「一言では言えないですけど、僕のなかでは、海外生活も含めて海外でのプレー。サッカーだけじゃなく、色んな面で難しいことがたくさんあるなと思ったので、これからもっと、良くしていくしかないなと。これ以上、下に行くことはないと思うので、ここからどんどん登っていくだけだと思います」
 
 来シーズン、浅野がどこでプレーするかは決まっていない。

 だが、シュツットガルトに残って1部でプレーすることになっても、アーセナルに戻ることになっても、「僕にとっては、どっちに転んでもハッピーなことなので楽しみですね」と、浅野は新たなシーズンの到来を楽しみに待っている。
 
現地取材・文:山口 裕平
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