久保は「ジョーカー」ではなくファーストチョイス? 「小川&久保」の2トップが意味したもの

2017年05月13日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

連係が磨かれつつある「小川&久保」の2トップ

磐田戦の1本目で、小川と2トップを形成した久保。小川へ絶妙なスルーパスを通すなど、連係面に問題は見られなかった。

[練習試合]U-20日本代表 1-0 磐田/5月12日/ヤマハ

 磐田との練習試合の1本目(30分×2本実施)、2トップには小川航基(磐田)、久保建英(FC東京U-18)が並んだ。昨年12月のアルゼンチン遠征で久保が初招集されてから約半年間、国内外で行なわれた実戦で、彼らは度々2トップを務めている。

 その回数は決して多くはないが、連係面は特に問題はなく、この試合では両者のコンビネーションから何度か見せ場を作った。13分のシーンでは、中盤でボールを受けた久保が、DFをドリブルでかわし、最終ライン裏へ抜けだした小川へスルーパスを供給。これは惜しくもシュートへつながらなかったが、互いの特長を理解し合えていたからこそ体現されたワンプレーと言えるだろう。

 国内で小川と久保の2トップが初めてお披露目されたのは、約2か月前に行なわれた3月上旬(7~8日)のトレーニングキャンプだ。紅白戦では両者とも鳴かず飛ばずの出来だったものの、FC東京との練習試合では一転してまずまずの連係を見せていたのが印象深い。

 久保から小川へのスルーパスからチャンスを作り出すなど、見違えるように連係が改善されたのは、互いのプレーの特長を伝え、各々が要求し合えたからに他ならない。実際、小川はFC東京戦後にこう明かしている。

「試合前に口酸っぱく、『お前のところで前を向けば必ず動き出すから』と言っていた中で、そういったシーンが2、3回あった。チャンスで決めきることができなかったですけど、良い関係が築けている手応えはあります」

 それ以降、「小川&久保」の2トップは攻撃面で計算の立つ組合せとして見られるようになった。コンビネーションの確立に自信を深めているのは、驚異的な適応力を見せている久保も同じだ。

「今日(磐田戦)は短い時間だったんですけど、何回か良いプレーも出せて、手応えはありました。30分と短かったので、出し切れなかった部分もあったんですけど、悪くはなかった」
「(小川選手とは)「何回か一緒にやらせてもらっていて、良い連係が築けているかなと思います」

 そこで注目したいのが、2トップのファーストチョイスである。過去の実績を踏まえ、これまでは主に小川、岩崎悠人のふたりがセレクトされてきたが、久保の台頭によってその流れは変わりつつあるようにも思えるのだ。

 もちろん、磐田戦の1本目に出場したからといって立ち位置が変わったとは言い切れないが、当初は「ジョーカー役」と見られていた久保が、岩崎を差し置いて起用された事実が意味するものとは――。いずれにせよ、ホンジュラス戦(15日)でも焦点のひとつになるのは間違いない。

取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)
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