【大宮】“さいたまダービー”でゴールを射抜いた男。茨田陽生の忘れられないワンシーン

2017年04月30日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「最高の雰囲気でサポーターと勝利を分かち合えた」

値千金の決勝ゴールを決めた茨田。この1点を粘り強く守り切って、大宮は今季初勝利を挙げた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ・9節]大宮 1-0 浦和/4月30日(日)/NACK
 
「今の順位はダービーになれば関係ない」――。
 
 試合前、多くの選手がそう口にした。そして、今季未勝利でリーグ最下位に沈む大宮は首位を走る浦和を破り、その言葉を証明してみせた。
 
 自身初の"さいたまダービー"で決勝ゴールを決めた茨田陽生は言う。「アップの時からいつもと違った。独特な空気が漂っていた」
 
 歓喜は63分に訪れた。江坂にボールが入ると、茨田がダッシュ。猛然と横を走り抜けるとタイミング良くパスが供給された。
 
 トラップしてほんの少しだけ、1メートルほど前進すると「入ってくれという気持ちで」右足を思い切りよく振り抜いた。浦和DFが伸ばした足も、GK西川周作の手もブロックし切れない。
 
「絶対にネットを揺らしてやろう」という想いがこもったシュートが、ニアサイドに突き刺さった。待望の先制点。この得点が、結果的に勝者と敗者を分けた。
 
「最高の雰囲気でサポーターと勝利を分かち合えた」と語るヒーローの脳裏に、焼き付いて離れない光景がある。それはボールがゴールを射抜いた直後、目に飛び込んできた。
 
「オレンジ一色のファン全員が立ち上がって喜んでくれた。あの瞬間が忘れられないくらい嬉しかった」
 
 茨田よ、君だけではない。監督、選手、スタッフ、サポーター、記者。あの瞬間を見ていた場所や立ち位置は違えど、今季の苦しみを知る大宮関係者すべてがきっと忘れないだろう。
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)

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