【広島】すべての人の想いを乗せた“魂のゴール”。エース工藤は初勝利に何を思う?

2017年04月07日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「勝てない責任は感じていた。広島はこんなチームじゃない、と」

工藤は開幕戦以来となるゴールでチームを勝利に導いた。 写真:川本 学

[J1リーグ第6節]G大阪0-1広島/4月7日/吹田S
 
 試合終了を告げるホイッスルが鳴った瞬間、工藤壮人はピッチに倒れ込み、しばらく動くことができなかった。開幕から6試合目、待ちに待った勝利はやはり心地良かった。
 
 0-0で迎えた52分、広島は柴﨑晃誠のくさびをアンデルソン・ロペスがはたき、フェリペ・シウバがカットインから右足を一閃。シュートはバーを直撃したが、宙を舞うボールにいち早く反応したのが工藤だった。三浦弦太の寄せにも焦らず、体勢を崩しながら抑えを効かせたヘディングシュートでゴールネットを揺らした。
 
 選手、チームスタッフ、サポーター、広島に関わる人々を歓喜へと誘った一撃は、まさに「みんなの気持ちが乗ったゴール」(塩谷司)。そして何より、森保体制初の4連敗、開幕5試合未勝利の責任を感じていた工藤を、"呪縛"から解き放つ大きな意味を持つ。
 
「僕自身、ここまで勝てないというのは経験がなかったし、勝てない責任は感じていました。広島はこんなチームじゃない、と。だから、(試合が)終わった瞬間に、勝利に飢えていた気持ちが込み上げてきましたね」
 
 工藤にとって、チームにとって大きな1勝だが、課題も少なくない。先制後は中盤でボールを失う場面が増え、工藤も71分にはゴール前での決定機を外している。粘り強い守備でなんとか逃げ切ったものの、追加点を奪う決定力と状況に応じたゲームマネジメントは巻き返しに不可欠だ。
 
「得点シーンは、(柴﨑)晃誠さんからロペ(A・ロペス)に入って、フェリペが打つことができた。それまで最後のコンビネーションに欠けていたので、一連の流れの中から決め切れたのはひとつ自信になります。ただ、相手より気迫が勝って(失点を)ゼロに抑える"ベース"の部分はできたとはいえ、そこから攻撃に出て行く、あるいは最後を仕留めるクオリティは課題。まだまだチャンスはあったので、2-0、3-0で終わられるようにこの勝利を良い方向に持って行きたい」
 
 G大阪戦はあくまでひとつの"きっかけ"に過ぎない。「(自分が)ゴールを決めて勝つ。最後に笑っていられるようにギアを上げていきたい」。国内3大タイトルを3個獲得しているストライカーの心はもう、渇望するゴールと勝利に向かっている。

 

取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)


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