【DFBカップ】勝ち越しゴールの起点に! 2戦連続先発の香川、今回も好プレーを連発

2017年03月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

前半は3部リーグ所属のホームチームに主導権を握られたが…

今回も高い位置をキープして攻撃に重点を置いたプレーを見せた香川。本来のポジションで、輝きを取り戻した。 (C) Getty Images

 本来は2月28日に行なわれるはずだったが、悪天候のために順延となったDFBカップ準々決勝のシュポルトフロインデ・ロッテ対ドルトムント戦が3月14日(現地時間)に行なわれ、ドルトムントが3-0で勝利を収めた。
 
 前半は3部リーグに所属するホームチームが主導権を握る。攻守で出足の速さを見せ、良いかたちでボールを奪うと、カウンターから良質のクロスを何本も入れ、ドルトムントDF陣を慌てさせた。
 
 10分を過ぎる頃からはさらにロッテの攻撃は激化し、11分には縦パス1本で抜け出したDFヴェンデルがGKとの1対1という決定的を迎え、19分にもFWフライベルガーがGKビュルキの頭上を越すシュートを放つなど、格上相手に再三ゴールに近付いた。
 
 対するドルトムントは、カストロが中盤で舵取り役に専念したこともあってなかなか攻撃のかたちを作れず、長いパスを放り込んだり、個人の突破に頼る単調な攻撃が序盤は続いたが、15分にようやくチャンスを生み出す。
 
 その起点となったのは、公式戦2戦連続でスタメンに名を連ねた香川。ドリブルで相手陣内を突き進み、カストロとのパス交換を経て、シュールレに好パスを送る。シュールレはシュートも狙えたが、クロスを選択し、これは相手DFが辛うじてクリアした。
 
 5分に自陣でのパスをカットされて危険な場面を迎えた香川だったが、その後はインサイドハーフとして確実なプレーを披露。24分には相手のパスミスを拾って左に流し、ゲレイロのきわどいシュートを引き出した。
 
 また、巧みなボールさばきはこの日も見られ、43分には軽やかな身のこなしとフェイント、そして細かいボールタッチでふたりの選手を手玉に取るプレーを披露している。
 
 それでも、ドルトムントは格下相手にゴールを奪えず、むしろ最終ラインの不安定などもあってホームチームの良さを引き出す格好で(ゆえにスタジアムが盛り上がったが)、前半を0-0で終えた。
 
 後半、開始4分でビッグチャンスを得たのはアウェーチーム。ゴール前の攻防から、左サイドでフリーの香川にボールが流れてきたが、角度のない位置からのダイレクトシュートはGKに阻まれてしまった。
 
 しかし、ドルトムントはこれでペースを握り、後半は前半以上に長い時間を相手陣内で過ごすようになる。
 
 そして57分、ようやく待望の先制点を奪った。カウンターからデンべレがドリブルで進攻し、絶妙のタイミングでプリシッチへラストパス。シュートはGKフェルナンデスの股間を抜けてゴールに吸い込まれた。
 
 ティーンエイジャー2人の連係でゴールを奪ったドルトムントは楽になり、その後も再三相手のゴールに迫る。対する守勢のロッテは、時折前線にボールが渡り、FWが粘って好機を生み出すも、シュートまでは持ち込めない。
 
 66分、ドルトムントは、プリシッチのパスを受けた香川がペナルティーエリア内左の位置から反対サイドに浮き球のクロスを入れ、これをゴールライン際でゲレイロが頭で折り返すと、シュールレが豪快なダイレクトボレーでゴールネットを揺らした。
 
 これでほぼ勝負を決したドルトムントは、83分にシュメルツァーがFKを強烈な左足のシュートで決め、ダメを押す。
 
 前半は苦しんだドルトムントだが、ロッテの選手、そして敵地のファンに対し、徐々に地力の差を見せ付けて大差の勝利を飾ったのだった。準々決勝を勝ち抜いた彼らは次ラウンドで、昨シーズンに決勝戦で敗れた宿敵バイエルンと対戦することとなる。
 
 さて、先週末のヘルタ・ベルリン戦でゴールをアシストした香川は、今回もシュールレの勝ち越しゴールの起点となり、目に見えるかたちで勝利に貢献を果たした。
 
 後半もデンべレへ数本のスルーパスを通すなど、本当ならこの試合、香川のアシストで2、3ゴールが生まれていてもおかしくなかった。
 
 また、70分に好位置でボールを得た際には、ゴールを狙って相手DFに1対1のドリブル勝負を仕掛けるなど、プレーは積極性に満ち、迷いや不安は微塵も感じられなかった。
 
 3部リーグのチーム相手だから、と言ってしまえばそれまでだが、ブンデスリーガで対戦するチーム以上に高いモチベーションを持ち、厳しいプレッシャーをかけてきたロッテの選手に対し、香川が質の高さを見せ付けたのは事実である。
 
 ボールを失うことはほとんどなく(相手はファウルでしか止められなかった)、多くのチャンスを生み出した香川。時折訪れた、試合のなかで消える時間帯をどれだけ短くしていけるかが、彼にとっても、チームにとっても、今後の課題のひとつだと言えよう。
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