【仙台】プレーは堂々と、受け答えは飄々と。永戸勝也が示した自身の可能性

2017年02月26日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「緊張するかなって身構えていたけど、それがなかった」

利き足とは逆の右足で強烈な無回転シュート。永戸は存在を十分にアピールしていた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ開幕戦]仙台1-0札幌/2月25日(土)/ユアスタ
 
「昨晩、ソワソワするかなって思ったんですけど普通に寝ちゃいました。それこそ『試合は明日だよな?』くらいの感じ。寝覚めもバッチリで、『試合は今日だよな?』みたいな。
 
 緊張するかなって身構えていたけど、それがなかった。アップの時から集中できていたし、純粋に『楽しい』と感じながらプレーしてましたね」
 
 永戸勝也は時折、周りに集まった記者の笑いを誘いながら実に飄々と話す。慣れているのか、それとも元から緊張とは無縁なのか。紡がれる言葉にも、淀みがない。
 
 しかし、紛れもなくプロ1年目だ。配られたメンバー表に記載されている通算試合出場数・得点は0・0。それでも開幕スタメンという大役を担い、好パフォーマンスを披露。積極的に仕掛け、クロスを放ち、シュートを打った。
 
「プロとして初の試合だったので、自分のサイドからやられるようなことは避けたかった。だから、まずは守備をしっかりとやることを心掛けた。1対1での激しさを相手に見せないと、付け入られてしまうかもしれない。
 
 この試合は、『勝てればいい』とだけ思っていた。その通りになって、サポーターと喜びを分かち合えたのが嬉しい。こういう経験を1回でも多くしたいし、自分たちにはそれをやる責任もある」
 
 プレーぶりだけではない。ミックスゾーンでの受け答え、佇まいも実に堂々としている。重圧なんてない。そう言われたら、信じざるを得ないだけのモノがある。
 
 ただ、デビュー戦はすべてに納得しているかと言えば、そうでもない。20分に決定的なチャンスを外し、自らデビュー戦を祝うことはできなかった。
 
「弱気になると上手くいかないので、ボールがきたら思い切り振り抜こうと。『いけるかな』って思ったけど、なんか当たらなかった(笑)。
 
 あれはもうしょうがない。外した直後は『ヤバイな』って感じだったけど、すぐに切り替えられたし、その後のプレーも目立ったミスなくできていた。気にはしてなかった。
 
 まぁ、試合が終わってから仲間たちに『あれを外すのかよ!』って、散々イジられましたけどね」
 
 多くの手応えと少しのほろ苦さと……。左サイドで自身の可能性を示した永戸のプロ人生の幕は、こうして上がった。
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
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