年間7億円の負担にロンドン市民が激怒! 警備費用は全額プロクラブの支払いへ?

2017年02月09日 サッカーダイジェストWeb編集部

ロンドン市長も「負担する意味が分からない」と市民の声に賛同。

いまだ過激派サポーターたちによる暴動が絶えないイングランド・サッカー界。警備は安全な試合開催にあたって必至なだけあって、今回の決議は重要な意味を持つ。 (C) Getty Images

 ロンドンの市議会が、市内のプロサッカークラブに対して、試合日の警備費用全額を負担させる決議を行なった。英紙『テレグラフ』が報じている。
 
 同紙によれば、昨シーズンのプロリーグの試合における警備費用はロンドン市の税金によって負担されており、その額は年間で500万ポンド(約7億円)。市民たちからは、「税金を使うのは納得がいかない。政府に働きかけて欲しい」という抗議が殺到していたという。
 
 そうした声を受けたロンドンのサディク・カーン市長は、「選手に対して高額な週給を払うことができるプロフットボールクラブが、警備予算を支払わず、その負担を我々(市民)がする意味が分からない」と表明。イギリス政府に法律化を訴えることを示唆した。
 
 2012年に制定された現行のルールでは、クラブが負担する警備費用はスタジアム内などクラブの私有地のみ。スタジアム周辺地域の警備に関しては市が賄うことになっている。
 
 テレグラフ紙は、現行ルールを改正するために、カーン市長が各クラブに手紙を送るなどのロビー活動も必要になってくると伝えた。
 
 イギリスのアンバー・ラッド内務大臣は「ロンドン議会が市民の声を支持したことを嬉しく思う。ロンドンのフットボールクラブは我々政府が答を出すまでは、納税者たちに請求書を送るのを止めなくてはいけない」と、ロンドン議会に賛同する意思を明らかにした。
 
 また、ソフィー・リンデン副市長は、「試合が安全に行なわれることが最も重要で、クラブがその費用を負担すべきです。我々はその意志をはっきりとさせています」とコメント。今後、政府でも改正案が通れば、ロンドン市内のクラブだけでなく、イギリス全土のクラブが警備費用を負担することになりそうだ。
 
 今もなお過激派サポーターによる暴動が問題になるイングランド・サッカー界にとって、警備は何よりも重要な問題。それだけに市民の声が発端となった改正案の行方に注目したい。
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