過激派ファンに愛車を「放火」される…憤慨のペスカーラ会長がクラブ売却を表明

2017年02月08日 サッカーダイジェストWeb編集部

結果が出ずサポーターの怒りは頂点に…。

セバスティーニ会長(右)はペスカーラが最下位に沈みながら、内容の伴ったサッカーを目指すオッド監督(左)に信頼を寄せ続けている。監督解任が日常茶飯事のセリエAでは異例中の異例だが、ファンのストレスは溜まっているようで……。(C)Getty Images

 開幕から5か月以上が経ち、いまだにピッチで1勝も挙げられなければ、サポーターが怒り狂うのも当然だ。しかし、それは暴挙を許す理由にならない。
 
 現地時間2月7日未明、セリエA最下位に沈むペスカーラのダニエレ・セバスティアーニ会長の車2台が、何者かに炎上させられた。
 
 イタリア『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙によると、ごみ収集作業員が午前3時半ごろ、セバスティアーニ会長宅の中庭に停車されていた2台の車が炎上しているのを発見。事態に気付いた近隣住民やセバスティアーニ会長本人の通報を受けて、駆け付けた消防隊員らが約1時間後に鎮火させた。幸いにも負傷者は出なかったという。
 
 セリエA23節を終えて勝点わずか9ポイントのペスカーラは、まだ1勝しか挙げていない。2節に奪ったその勝点3は、対戦相手のサッスオーロが登録規定に違反したことによる不戦勝。ピッチではサッスオーロに敗れており、ペスカーラは実質的に今シーズン未勝利なのである。
 
 マッシモ・オッド監督はセリエAでは異例とも言える内容の伴った攻撃サッカーを貫き、その姿勢はメディアや業界関係者から賞賛されているが、サポーターはやはり違う。怒りが頂点に達しているのは言うまでもない。
 
 しかし、一部の過激派の怒りはまさに暴挙に繋がってしまったようだ。昨年12月も、一部サポーターがチーム恒例のクリスマスパーティーを中止に追い込むなど、両者の間で緊張が高まっていた。その中での今回の事件だ。まだ警察の捜査中だが、過激派サポーターの関与が疑われるのも当然だろう。
 
 この事態に、セバスティアーニ会長は事件直後に地元メディア『Il Centro』で「もううんざりだ。私は憤慨している。シーズン後にクラブを手放すよ」と、チームを売却する考えを明かした。
 
 とはいえ、セバスティアーニ会長は同日午後、『Radio 24』でやや冷静を取り戻したコメントを残している。怒りに駆られてクラブを売却するのではなく、買い手をしっかりと見極めることも重要だと強調した。
 
「サッカーで結果が出なければ、責任はいつも運営側にある。だが、批判とこういう行為は別物だ。この9年間、我々は素晴らしい仕事をしてきた。クラブを売りたいかと聞かれれば、当然イエスだ。だが、プロジェクトのある真面目な人に売りたい。私はこのクラブで商売をしたいわけじゃないんだ。私よりも優れた人に委ねたい」
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事