「悪魔と手を切るために」ガスコイン、飲酒依存克服のため再びリハビリ施設へ

2017年01月09日 サッカーダイジェストWeb編集部

幾度も飲酒や薬物騒動を起こして、身内からも見放された英雄。

ガスコインの創造性溢れるプレーは、パワープレーが主流だった当時のイングランド・サッカー界に強烈なインパクトを残した。 (C) Getty Images

 元イングランド代表MFのポール・ガスコインが、自身が陥ったアルコール依存症を断つためにリハビリ治療を再開したという。英紙『デイリー・ミラー』が報じた。
 
 1980年代後半から1990年代中期に『ガッザ』の愛称で親しまれたガスコインは、トッテナムやレンジャーズ、そしてイングランド代表で活躍。巧みなテクニックを利した創造的なプレーの数々から、「イングランド・サッカー史上で最も優れた才能に恵まれた選手」と謳われた。
 
 しかし、キャリアの晩年に入ると薬物中毒やアルコール依存症、さらにはうつ病であることが判明。一時は精神病院に入院していたことが発覚し、大きな話題をさらった。
 
 2003年の現役引退後はさらにエスカレートし、何度も深酒で病院に運ばれれば、2005年には新聞記者に暴行を振るって逮捕。2008年11月には実息のレーガンが、イギリス・テレビ局『チャンネル4』が作成した番組内で、「父を助けようとするのはもはや無駄なことだ。 時間の浪費でしかない」と発言するなど、身内からも見放された状態となった。
 
 2009年にはアルコール依存症を断つためにリハビリ施設に入ったものの、2010年に飲酒運転で逮捕されると、2013年には自身が現役時代に稼いだとされる資産1400万ポンド(約20億円)が底をつき、PFA(プロフットボール選手協会)に資金の工面を依頼したことが伝えられた。
 
 昨年末にも、ホテルで泥酔して他の客と喧嘩騒動を起こして末に階段から転落。頭蓋骨を骨折する重傷を負い、現地の病院に搬送されていた。
 
 現在は自宅で療養しているガスコインについて、代理人のベイカー氏は「彼は悪魔と手を切ろうとしている」と語り、専門的な治療を再び受ける方向であることを明かした。
 
 ガスコインが治療に前向きであることを明かしたベイカー氏は、「ポールは自分がアルコール中毒であることを憎んでいる。『ジョージ・ベストのようだ』という話を聞くが、ポールは違う。ジョージは飲酒をやめるつもりはなかっただろう」とコメントした。
 
 飲酒とギャンブルに溺れ、身心ともにボロボロとなり腎臓の感染症を患い、2005年に帰らぬ人となった英国サッカーのレジェンドであるジョージ・ベストを引き合いに出したベイカー氏の言葉を聞く限り、ガスコインにはまだ病から立ち直る気力があるということか。
 
 また、ベイカー氏は、現在のガスコインは家賃を払うことすら困難な状態にあることを『BBC』のラジオ番組内で告白。「彼は生計を立て直す必要がある。今、彼に資金を工面してくれている者はいない。彼はライブショーに出演するだろう」と明かし、講演会などを行なっていくことを示唆した。
 
 自業自得で転落の人生を歩むガスコイン。ここから這い上がるのは決して平凡な道のりではないが、現役時代の輝きを知るオールドファンの中には、人生をやり直して平穏に暮らしてほしいと願う人は少なくない。
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