【皇后杯】ベレーザの三冠を阻んだ20歳のシンデレラガール八坂芽依。「新潟の人々を勇気づけるためにも優勝したい」

2016年12月23日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「(得点シーンは)ニアの隅が開いているのが分かったので、狙い通りでした」

53分、大石の落としに抜け出した八坂が決勝ゴール! 新潟Lは2年連続4回目の決勝進出を果たした。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[皇后杯準決勝]日テレ・ベレーザ0-1アルビレックス新潟レディース/2016年12月23日/味の素フィールド西が丘
 
 日テレ・ベレーザ(以下、ベレーザ)の「シーズン三冠」の夢を打ち砕いたのは、20歳のシンデレラガールだった。
 
 アルビレックス新潟レディース(以下、新潟L)は前半、ベレーザにパスを回され、押し込まれる展開が続いた。しかし、左サイドハーフで先発出場した八坂芽依によれば、「前半は攻められるのは分かっていた。とりあえず耐えて耐えて」というゲームプランだったという。その言葉通り、29分、32分のピンチをGK福村香奈絵のファインセーブでしのぐと、前半を無失点で切り抜ける。
 
 迎えた後半、新潟Lはカウンター重視の攻撃から一転、一気に攻撃のギアを上げる。51分、左サイドからチャンスを作ってベレーザゴールを脅かすと、その2分後に待望の瞬間が訪れる。最終ラインからのロングボールをFW大石沙弥香が頭で中央のスペースにそらすと、八坂が素早く抜け出してボックス内に侵入し、GKの脇下を抜く鮮やかなカーブショットで先制点を奪った。辛島啓珠監督はハーフタイムに「トップに当てて、セカンドボールを狙え」と指示していたという。八坂は得点シーンを「あとは決めるだけだった」と振り返る。
 
「(大石)沙弥香さんが(相手を)背負ってくれていたので、ここに(こぼれて)来るだろうと予測していました。トップに当てて、こぼれ球を狙うのは監督にも言われていたので、チームとして徹底できたかなと。(得点シーンは)GKが左のほうに寄っているのが見えた瞬間に、ニアの隅が開いているのが分かったので、狙い通りでした」
 
「最初に相手に押し込まれて、正直テンパっていました。味方と目も合っていなかったですし。だから、後半立ち上がりにしっかりしようと確認し合って、後半に気持ちの入ったプレーができたと思います。3人目の動きやワンツーで抜ける、連動したサッカーの成果が出たかなと」
 
 ベレーザを1-0で下し、新潟Lは2年連続4回目となる皇后杯決勝に駒を進めた。2年目の八坂は前回大会はベンチ外でプレーしておらず、今回が初めての大舞台。しかも、チーム最年少でスタメンを任されるだけに、プレッシャーも大きい。それでも、ベレーザ戦のゴールと勝利は八坂にとって確かな自信となったようだ。
 
「チームとして優勝した経験はありませんけど、ハードワークを徹底して新潟らしいサッカーをすれば(決勝も)勝てると思います。ゴールを決めて、しっかりチームに貢献したい。(大規模火災の起こった)新潟の人々やサポーターに勇気を与えるためにも、優勝したいです」
 
 12月25日に行なわれるINAC神戸レオネッサとの決勝で、再びヒロインとなれるか。八坂のプレーから目が離せない。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
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