【クラブW杯】逆転勝利を「非常に情けない」と吐き捨てた昌子。俊英CBが見せた「背番号3」の気概

2016年12月09日 サッカーダイジェストWeb編集部

「失点してからスイッチが入るっていうのは、非常に情けない」

昌子は失点よりも、攻撃陣の不出来を悔やんだ。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

[クラブW杯開幕戦]鹿島アントラーズ 2-1 オークランド・シティ/2016年12月8日/横浜国際競技場
 
 昌子源は、本当に気持ちが強い選手になった。かつては、「(小笠原)満男さんや(柴崎)岳があれだけやってるから、俺らもやらなあかん」と自分の未熟さを責めてばかりいたが、今の昌子にその面影はない。中心選手としての自身と自覚が芽生えたからだろう。
 
 オークランド・シティに2-1の逆転勝利を収めたクラブ・ワールドカップ開幕戦後のミックスゾーンでも、彼の発言には「鹿島の3番」としての気概が見て取れた。
 
「ミドルシュートを打てるチャンスがいっぱいあった。もっとシュートを打ってほしかった。前半が終わって、僕は嫌な雰囲気を感じました。非常に情けない。失点してからスイッチが入るっていうのは、非常に情けない戦いをしてしまったなと」
 
 CBという立場からすれば、先制点を奪われた反省が頭を占拠しそうなものだ。実際、昌子は失点につながったFKの場面を「僕も不用意なファールを与えてしまった。そういうとこは注意したい。やられる機会はセットプレーしかなかったのに、それをみすみす与えてしまった」と反省している。
 
 しかし、彼が最大の問題点に挙げたのは攻撃陣の不出来だった。なぜ「情けない」のか。その理由についても踏み込んでいる。
 
「(ハーフタイムに)シュートを打って終わってほしいというのはチームに言いました。後半に(赤﨑)秀平くんが入れてから、その後に秀平くんがドリブルで持ち込んでシュートを打って、その後、(永木)亮太くんが打った。どっちも外れたけど、シュートで終わるのは自然と勢いにも乗るし、入らなくてもいいから、どんどん打って自分たちでリズムを作るべき。そこで相手のゴールキックで終わる分には全然問題ない。中途半端に横パスをカットされてカウンターくらうよりずっといい。そういうのを僕は後半に要求しました」
 
 以前の昌子であれば、「僕も不用意なファールを与えてしまった」ことばかりを悔いていたかもしれない。しかし、今の昌子に、その感覚はない。自分自身のパフォーマンスがどうこうではなく、チームがいかにして勝つかに主眼を置く選手になっているからだ。
 
 かつての「鹿島の3番」も、そうだった。秋田豊、岩政大樹。彼らはチームの勝利をなによりも重んじ、時に厳しい要求をチームメイトに課してきた。この試合で昌子が「非常に情けない」と感じ、「シュートを打って終わってほしい」と仲間を叱咤激励したように。
 
 まだ23歳で、日本代表にも定着していない昌子が、先人たちに追いついたとは思わない。ただ、日に日に存在感を増す俊英CBが、「鹿島の3番」に相応しい選手に近づいているのは揺るぎない事実だろう。

【クラブW杯PHOTO】 鹿島2-1オークランド・シティ|金崎の決勝点で鹿島が勝利
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