【クラブW杯】小笠原満男の苦い表情に見た「鹿島の強さ」

2016年12月09日 白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)

ピッチでは「チームファースト」を貫いたが…。

中盤で抜群の存在感を放った小笠原。しかし、63分に途中交代を告げられた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

[クラブW杯開幕戦]鹿島アントラーズ 2-1 オークランド・シティ/2016年12月8日/横浜国際競技場
 
 鹿島の中心は、この日も小笠原満男だった。
 
 序盤から押し込むチームにあって組み立て/仕掛けの中心に君臨。とりわけサイドへのロングレンジのパスが冴えに冴え、西大伍、山本脩斗という両SBのオーバーラップを幾度となく引き出した。
 
 また、守備でも素早い出足の潰しを見せ、相手のカウンターの芽を摘み続けた。
 
 しかしチームは50分にまさかの先制点を許し、63分には金崎夢生との途中交代を告げられる。1点を追うチームがMFを下げてFWを入れるのはセオリー通りであり、延長戦もある試合で体力的に不安がある37歳がお役御免になるのは致し方がない部分もある。
 
 金崎が用意する左サイドではなく、より近かった右サイドからピッチを去った小笠原。オーバーにはアピールしなかったが、その表情は明らかに悔しそうだった。「もっとやれる」、「もっと戦いたい」とそう言っているようだった。
 
 思えば、5日前の浦和戦(チャンピオンシップ決勝第2戦)では、73分に交代を告げられ、「なんで俺と!?」と明らかに不満を露わにしていた。試合後、チームメイトの昌子源はあのシーンを「満男さんのあんな姿見たら、残った僕らは絶対に負けられない」とポジティブに捉えていたが、本人は「あれ(ジェスチャー)はやってはいけない」と反省していた。
 
 その言葉通り、この日は大袈裟にはアピールしなかった。そして、試合後のTVインタビューでは、「良い試合をしたかったんですけど、今日のような試合をしていたら勝っていけないと思うので、(次は)しっかり戦っていきたい。(3日後のマメロディ・サンダウンズ戦は)日程的なものも含めての勝負、勝ちに行きたいと思います」と殊勝に語った。
 
 しかし、記者陣が待つミックスゾーンは足早に素通り。誰が声をかけても、決して止まることはなかった。
 
 浦和戦の反省を活かし、ピッチでは"チームファースト"を貫いた。しかし、ミックスゾーンでの表情を見る限り本心はフル出場できなかったことが心底悔しかったのではないか。
 
 これまで15個のタイトルを勝ち取ってきた37歳がこれだけの強い気持ち、勝利への執着心を見せるのだ。鹿島が、強いわけである。
 
取材・文:白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)

【クラブW杯PHOTO】 鹿島2-1オークランド・シティ|金崎の決勝点で鹿島が勝利
 
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