カタールW杯ではスタジアムなど公共の場での飲酒は処罰対象に

2016年11月11日 サッカーダイジェストWeb編集部

戒律や伝統を守りたい開催国に対して、FIFAは? ファンは?

果たして中東初のW杯は、選手にとって、世界中のファンにとってどのような大会となるだろうか。写真は大会用の新スタジアムのイメージ。 (C) Getty Images

 2022年、ワールドカップは中東カタールで開催されることが決定しているが、宗教的戒律や伝統に則って、スタジアムや道路、広場などの公共の場では、外国人であっても飲酒は禁じられることとなったと、欧米の各メディアが報じている。
 
 これは、ワールドカップ組織委員会のハッサン・アル・サワディ委員長がカタールの新聞『Al Sharq』に語ったもので、飲酒が許されるのは公共の場所からから遠く離れた特定の場に限られるという。
 
 現在もこの国では、許可を得たホテルやレストランでしか飲酒は認められず、この規則を破った場合、逮捕され、禁固や高額な罰金など、厳しく罰せられることになる。
 
 アルコールを持ち込むのもご法度で、空港では厳重に荷物がチェックされるという。また、ドラッグ、有害図書、豚肉製品、宗教関係の本などについても同様である。
 
 サッカー界では、アルコールは暴力沙汰を引き起こすとしてスタジアム内での飲酒が禁止されるケースは多々ある。
 
 またW杯では、1990年イタリア大会で、試合の前日から当日にかけて、試合開催都市で酒の販売が禁止されることはあったが、大会を通して飲酒が制限されることになるのは、カタール大会が初めてとなる。
 
 もっとも、FIFAは「バドワイザー」をスポンサー(2022年大会までオフィシャルビールとして契約している)としているだけに、果たしてこのカタール側の意向を受け入れるのか、注目される。
 
 2年前のブラジル大会でも、組織委員会がスタジアム内での飲酒を禁じようとしたが、FIFAはこれを許さなかったという前例がある。
 
 カタールW杯といえば、中東ゆえに夏の暑さが厳しいため、冬(11月21日~12月18日)に開催されることが昨年9月にFIFAから発表されたが、各国のリーグ戦の日程調整など、解決すべき多くの問題が横たわっている。
 
 また、女性は肌の露出を抑え、外出時には黒い衣装で顔も覆い隠すのが一般的である他、同性愛に対しては死刑を含めた厳罰が用いられる国だけに、人権保護団体などが注意を呼び掛けているほどである。
 
 中東で初のW杯として注目を浴びる2022年大会だが、独自の戒律や伝統を有するだけに、世界中のサッカーファンにとって、現地観戦を決断するのは容易ではないイベントになるかもしれない。
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