アルゼンチン戦に向け「悲劇の地」へ舞い戻るセレソンの想い

2016年11月08日 サッカーダイジェストWeb編集部

「心が揺さぶられるのは確かだが、過去のこと」(チッチ監督)

2年前の惨劇以降、下り坂だったブラジルだが、今年は五輪代表が悲願の金メダルを獲得し、A代表もここまで4連勝の首位。良い流れのなかで宿敵を下し、ミネイロンの悪夢(写真)の記憶を払拭したいところだ。 (C) Getty Images

 ブラジル代表は11月10日(現地時間)、ロシア・ワールドカップ南米予選の大一番、アルゼンチン代表とのホームゲームを迎えるが、試合はベロオリゾンチのミネイロンで行なわれる。
 
 この6万人を収容するスタジアムの名前を聞くたびに、ブラジル国民は2年前の、あの「悲劇」を思い出す。優勝を確信していたブラジル・ワールドカップ、準決勝でドイツに蹂躙されて1-7の惨敗を喫した、あの「ミネイロッソ」と呼ばれる悲劇を……。
 
 今夏、ブラジル代表監督に就任したチッチは、「ミネイロンに戻って来るということに対して、心が揺さぶられるのは確かだ。それは、2年前にセレソンのメンバーではなかった者にしても同様だ」と語る。(『ESPN』による)
 
「しかし、我々はあらゆる状況でもプレーして結果を出すことを学ばなければならない。2年前のことは、過去の出来事であり、今、我々は違う時を生きている」
 
 指揮官だけでなく、選手たちも現在と未来に目を向ける。2年前、交代出場で惨劇の舞台に立ったパウリーニョ(広州恒大)は、「起こったことを今さら変えることはできない」としながらも、今回のアルゼンチン戦を「歴史を書き換えるチャンス」と捉えている。
 
 また、サンパウロ所属のDFロドリゴ・カイオは、「ファンは木曜日(10日)、新しいセレソンを目の当たりすることになる」と、頼もしいコメントを残した。
 
 ブラジルは現在、10節を終えた時点で6勝3分け1敗の首位。初戦でチリに0-2で完敗という最悪のスタートを切ったものの、9月からは4連勝を飾っており、良い状況で宿敵アルゼンチンを迎えることとなる。
 
 対するアルゼンチンは、直近の3試合で2分け1敗と不調であり、さらに出場資格のない選手を起用したことによりボリビアがペナルティーを受けた影響で、6位(5位チリと同勝点)に転落するなど、逆風が吹き続けている。
 
 8月の代表監督就任から5戦目で大一番を迎えるエドガルド・バウサ監督は、予選突破に向けて「心配している」とネガティブな心情を吐露している。
 
 バルセロナのチームメイト同士であるネイマールとリオネル・メッシのエース対決も注目される一戦。前者は2年前、準々決勝で負った重傷のためにドイツ戦に出場できなかったが、今回の大一番で、ミネイロンを「"王国の威信"を取り戻した場」へと変えることができるか。
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