［J１第２ステージ17節］新潟０-１広島／11月３日／デンカS
 
　広島は、2016年シーズンのリーグ戦を１-０の勝利で締め括った。しかし、キャプテンの青山敏弘は６位に終わった現実に誰よりも責任を感じていた。
 
　今季は、故障や移籍など想定外のアクシデントが相次ぎ、チームの「最大値」を発揮できる状況がほとんど整わなかった。ただ、それは青山にとって"言い訳"に過ぎないのだろう。何より、自身のパフォーマンスが低空飛行のまま、最後まで浮上のきっかけを掴めなかったからだ。リーグMVPに輝いた昨季同様、泥臭くボールを追いかけるハードワークを見せた一方で、攻撃の圧力を上げようとした出した縦パスが通らず、天を仰ぐ姿を幾度となく目にした。
 
「これといった手応えを掴めず、チームとしても形を確立できずに、最後まで来てしまった」
 
　第２ステージ11節の大宮戦に敗れて（０-１）５位に陥落すると、13節からの３連敗でチャンピオンシップ進出の可能性が消滅。シーズン終了を待たずして、リーグ連覇の可能性を潰えてしまった。目標を見出すのが難しい状況で、ラスト２試合を勝利したのは、昨季王者としてのせめてもの意地だろう。
 
「内容がもう少しついてくれば良かったですけど、去年優勝しているわけで……。６位という結果は満足できません。この悔しさを来年につなげないといけない」
 
　リーグ戦が終わり、広島にはもう天皇杯（11月12日／鳥栖戦）しか残されていない。ここでタイトルを獲るか、逃すかで、シーズンの評価も変わってくる。何より、今季限りでの引退を表明している森﨑浩司の花道を飾りたい、という想いは日に日に強くなっている。
 
「浩司さんと（決勝の元日まで）一日でも長くサッカーをしたいし、勝利を一緒に喜びたい。最後まで浩司さんと戦い切りたいです」
 
　青山が抱える様々な想いを解消するには、「勝利」が一番の薬となるはずだ。
 
取材・文：小田智史（サッカーダイジェスト編集部）

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