【オーストラリア人記者の日本評】日本は「倒せる」相手に成り下がった

2016年10月09日 植松久隆

ポゼッションで圧倒しても、ファイナルサードでねじ伏せられない。

イラク戦でも日本は圧倒できなかった。写真:(C)SOCCER DIGEST

 ロシア・ワールドカップのアジア最終予選で最大のライバルと目されるオーストラリアの記者ポール・ウィリアムス氏は、今の日本をどう見ているのか。 9月のワールドカップ・アジア予選を終えた段階でのものだが、その見解は非常に興味深い。
 
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最終予選の2試合、日本はこれまでの〝悪癖〞を繰り返した。ポゼッションで圧倒しても、ファイナルサードでねじ伏せられない。UAE戦はその典型例だ。ボールを支配しながらトドメを刺せず、勝点1さえ手に入れられなかった。
 
 タイ戦にしても、もっと早い段階で試合を決めるべきだった。実力的に劣る相手に決定的な仕事ができなかった本田圭佑の状態は気掛かりだが、それ以上に心配なのが香川真司だ。いったい彼はどうしてしまったのか。脅威になり得ていなかった。
 
 今や、日本はアジア各国にとって「倒せる相手」に成り下がった。日本が課題を克服できず伸び悩んでいる間、その他の国が着実に成長している分だけ実力差は縮まっている。
 
 現在のオーストラリアは、13年に戦った時とはまったくの別物。世代交代が奏功し、 欧州で活躍する若手が台頭した。ベテラン偏重の頃と打って変わりテンポ良くつなぐ新スタイルが定着しつつある。いつも激闘となる日豪戦だが、日本が過去にないタフな戦いを強いられるのは必至だ。
 
 オーストラリアとUAEにグループBの主導権を渡したくない日本だが、まさかの躓きにより近年の最終予選にはない苦しい立場に立たされた。未知のプレッシャーにどう対処して立て直しいくのか、見物だ。
 
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著者プロフィール
ポール・ウィリアムス(スポーツライター)
オーストラリア屈指の"アジアサッカー通"で知られるスポーツライター。国内随一のサッカー・ポータル『SBS the World Game』コラムが好評を博すなど、オーストラリアに広くアジアサッカー情報を発信している。
 
翻訳:植松久隆
 
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