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“準備1日”で3バック変更も6連敗中の柏に黒星。「私自身の準備と対応のところでミスがあったと言わざるを得ない」「甘さがまだまだある」川崎の試行錯誤は続いていく

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2026年05月11日

前半は良さを示したが

柏に敗れた川崎。試合では3-4-2-1を採用した。写真:永島裕基

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[J1百年構想リーグEAST第16節]柏 1-0 川崎/5月10日/三協フロンテア柏スタジアム

 唯一の枠内シュートを決勝弾につなげた前節のホーム・東京V戦に続く勝利を目指した川崎だが、6連敗中の柏にアウェーで敗戦を突き付けられた。

 東京V戦から中3日でのゲーム、川崎の先発メンバーは少なくない驚きをもたらした。4人のDFとともに、本来DFの佐々木旭がMFに名を連ねたのだ。

 今季5節、アウェーの町田戦ではFW宮城天をDFとして先発メンバーに登録し、蓋を開けてみれば、従来の4-2-3-1を採用した例はあったが、この日はどうなるのか。注目が集まったなか、昨季の長谷部茂利監督の就任前から4バックを踏襲してきたチームが、柏戦では、指揮官が福岡時代などに重用した3-4-2-1に布陣を変えたのである。

 しかも準備期間はわずか1日だけだったという。一方で構想は持っていたと長谷部監督は振り返る。

「(5-3で勝利したホームでの柏との)開幕戦の時から頭にあり、コーチと揉んだりしていました。ただ、練習は昨日1日だけです。にしては十分できたと思います。選手たちは特に前半、良いプレーをしてくれたと思います。結局は負けてしまったので、最後は少し(4バックに)変えましたが、自分たちの今まで通してきたスタイルはあるけれども、今日勝つためにと選手たちにも伝えて形を少し変えました。

 ただ、自分たちの考え方というところでは、前からどうするんだ、ミドルサードでどうするんだ、攻守に渡って話をして、大きく変えることはありませんでした。ですので、立ち位置が少し変わっただけと思ってもらえれば良いと思います」

 柏に3-4-2-1のミラーゲームを挑んだなか、シンプルな狙いもチームとして共有していた。

「やれているところもありましたし、昨日も前日だったので(練習は)そこまで強度高くできなかったですが、そのなかで自分たちでしっかり話し合って今日のために準備をしていました。

(ボールをつなぐ面では柏の)前3枚が(川崎の)後ろ3枚にぶつかってくると分かっていたので、(GKの)ダーセン(ブローダーセン)を使うのか、(ダブルボランチの山本)悠樹くん、(橘田)健人くんを1枚落としてズレを作るのか、自分たちも模索しながらやっていましたが、そこは前半、すごく上手くいけていたので、上手くいったところと、いかなかったところを振り返って、(今後)どういうシステムでいくか分からないですが、やっていきたいです」

 そう語るのは3バックの中央に入った佐々木だ。

 また、左ウイングバックとしてキーマンになった三浦颯太も振り返る。

「左は(ウイングバックの三浦が)ひとりで行ってくれというような指示で、右は細かく崩し、左は単騎というようなシステムだったので、分かりやすかったですし、難しい状況でもコーナーを取れれば良いとも思っていました。

(左サイドは)基本的には(ウイングバックの)自分が奥でピン留めし、その下にスペースが空くはずなので、そこを(シャドーの)ヤスくん(脇坂泰斗)や(ボランチの山本)悠樹くんが活かすという狙いがありました。なるべく自分は落ちないでと言われていました。上手く仕掛けられる環境、状況はヤスくんが気を遣って作ってくれたと思います」

 ふたりが話したように、1日だけの準備期間で役割分担を明確にし、前半は新システムもある程度、機能したと捉えられるだろう。
 しかし、当たり前ではあるが、リカルド・ロドリゲス監督の下で3-4-2-1で練度を高め、昨季は躍進した柏との積み上げの差は、時間が経つごとに顕著になった。川崎の選手たちは慣れないシステムで、頭も身体も体力が削られたのだろう。

 決勝弾をアシストした柏DFの馬場晴也も「相手の足が止まっていた。ボールウォッチャーになっていた」と語る。その点では再び佐々木が口をつく。

「準備期間が短い中で、シゲさん(長谷部監督)がやりたいような守備はできていましたが、やはり後半、相手も対策してきますし、立ち位置などを変えられた時に修正する能力がなかったと思います」

 柏が交代カードを活かし、ポジションチェンジや流動性をより高めていくなかで、マークが曖昧になった川崎は後手を踏み続け、決定機を何度も作られた。そして73分、ペナルティエリアの左、いわゆるポケットを柏の3バックの一角を途中から務めた馬場に取られ、そのクロスを、こちらも途中出場のFW細谷真大に決められたのだ。

 後半の状況に関して佐々木は続ける。

「普通にシステムは一緒ですし、マンツーマン気味についていたので、あれだけ自分のマークに走られるとか、それは集中力の問題なのか、気持ちの問題なのか、分からないですが、そういう甘さがまだまだあるので、そういうのをなくしていかないと連勝はできないのかなと思います。

(柏の後半の攻撃は)いるはずの人がいないと言いますか、(3バックの右の)ナガネ(松長根悠仁)の前にいるはずの選手が(3バック左の)マルくん(丸山祐市)のほうに行っていたので、数的不利になるのは当然とういうか、誰が掴むのか。前半できていたプレッシャーのところ、相手の顔をあげさせないくらいのプレッシャーがちょっと緩くなっていたので、あれだけ顔を上げられちゃうと柏さんは上手いチームなので、難しいのかなと」

 また左ウイングバックの三浦も後半の課題を指摘する。

「もうちょっとスライドを早くしたかったです。僕のところで出たかったんですが、隣のスライドが来ていなくて出らないシーンもあり、ヤスくん(シャドーの脇坂)が下がるシーンがあったので、そこは慣れないシステムで疲れがあったと思いますが、声を掛け合って、スライドをもっとできれば良かったとは思います。

(柏の3バックの右の)馬場選手が高い位置を取って開いていたので、あそこはもっと押し出して自分が前に出たかったですが、スライドのところで(柏FW)細谷選手が入ってきて一本が怖かったのと、(柏の)シャドーのランニングが怖かったので、両ウイングバックを(前に)出せていなかったと思います」

 改めて長谷部監督も述懐する。

「選手は全力を尽くしてくれましたが、ゼロ得点では勝てないし、流れの悪かった後半の15分くらいかな、そこで失点してしまった。前半は良い守備が光っただけに、(後半も)そういう風にできれば良かったですが、策を打てなかった私の...プレーのミスもそうですが、私自身の準備と対応のところでミスがあったと言わざるを得ないと思います」

 狙いが見て取れた前半と、慣れないシステムのデメリット、柏との差を突き付けられた後半。端的に評すなら川崎にとってそういうゲームであったということである。

 もっともポジティブに考えるなら、すでに優勝の芽が潰えている百年構想リーグで、新たなシステムに挑み、少しでもチームの経験値を得られた点は前向きな材料か。

 試合終了後、なかなか立ち上がれなかった三浦は、地域リーグラウンド残り2試合(その後プレーオフラウンドの2試合へ)に向け、コメントもしてくれた。

「順位は厳しいところにいますが、一戦必勝で、毎回、積み上げていけるような試合をしないといけない。連勝も意識して勝ちたいです」

 佐々木も悔しそうな表情を浮かべる。

「3枚の真ん中で行くというのはヴェルディ戦の次の日に伝えられましたし、(柏のCFの)細谷選手、垣田(裕暉)選手は能力があるので、やられるならそこだと思っていました。今日の試合の勝敗は自分に責任があると試合に入ったので、すごく悔しいです。またやる機会があったら次は絶対に無失点で終わりたいです」

 試合後、サポーターは背中を押すような声援を送った。その声に残りの試合で応えられるか。一歩でも前進していきたい。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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