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田中体制で3連勝の浦和。これまで構築したものを変えすぎず、立ち位置の構造と選手の特徴に合わせた役割を整理。暫定監督が示した進むべき道

カテゴリ:Jリーグ

河治良幸

2026年05月08日

アンタッチャブルな存在を作らない

田中暫定監督の就任後に3連勝と復調の兆しを見せる浦和。規律ある立ち位置の構造整理が好調の要因の1つと見られる。写真:滝川敏之

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 マチェイ・スコルジャ前監督の退任を受け、暫定監督として浦和レッズを率いることになった田中達也U-21監督兼トップチームアシスタントコーチ。就任から川崎フロンターレ戦、ジェフユナイテッド千葉戦、柏レイソル戦で勝利に導き、チームは3連勝を達成。勢いと熱量をもたらしている。

 もちろん、まだわずか3試合。いずれも先制点を奪って主導権を握る展開だったため、ビハインド時の采配や修正力は未知数だ。それでも、短期間でここまでチームの空気感とピッチ上の構造を変えた事実は大きい。

 では、田中体制で浦和は何が変わったのか。第一に大きいのは“立ち位置”の構造整理だろう。

 基本システムは4-2-3-1。守備時は4-4-2、攻撃時は3-2-5へと可変する形が明確になった。単なるフォーメーションの変更ではなく、誰がどこに立ち、どのスペースを使うのかが整理されたことで、選手同士の距離感が大きく改善された。

 攻撃面の変化が目を引くが、指揮官は守備面について「よりパワーを出せるようになった」と語る。その理由として挙げたのが、“選手が行きたいと思える距離感”でプレーできていることだった。

 田中暫定監督は、フォーメーションを「非常に大切」と位置付ける。中盤までは規律を持って立ち位置を整理しながら、ゴール前では“カオス”を許容する考え方だ。土台を整えたうえで、最後の局面では選手の自由や個性を解放する。

 そのバランス感覚が今の浦和には、はっきりと表われている。その恩恵を最も受けている選手の一人が、長沼洋一だ。
 
 従来と同じ左サイドバックながら、攻撃時には左ウイングのような高い立ち位置を取ることで、ビルドアップ時のピン留め役を担当。同時に、ゴール前へ飛び込む回数も大幅に増えた。

 田中暫定監督は、長沼が過去に高い得点力を見せていたのも把握しており、「攻守ともにレベルの高い選手」と評価。左の高い位置を託したのも自然な流れだった。

 その長沼が的確に幅を取ることで、マテウス・サヴィオも攻撃でインサイドに流れながら、危険なエリアで個人技を発揮する場面が増加。もちろん、逆の立ち位置になることもあるが、長沼が左のハンドルとなることで、M・サヴィオが解放されている部分が大きい。

 トップ下の中島翔哉も守備のタスクをこなしながら、攻撃ではかなりの領域で自由を与えられ、持ち味を発揮している。その分、キャプテンの渡邊凌磨やボランチの軸である安居海渡がバランスを取る。

 単に立ち位置を整理して構造を調整するだけではなく、選手の特徴に合わせた役割が整理され、チームのメカニズムと選手の個性が噛み合っているのだ。

 その変化は、メンバー選考にも表われている。田中暫定監督は「調子の良い選手を見逃さないこと」を重視しており、アンタッチャブルな存在を作らない考えを明言している。実際、川崎戦から千葉戦では3人を入れ替えながら、大きくチーム力を落とさなかった。

 中島に代わってトップ下に入った安部裕葵はスムーズに役割を遂行し、大卒ルーキーの植木颯や肥田野蓮治も存在感を示した。柏戦では長沼を外し、関根貴大を左サイドバックで起用。守備のバランスを保ちながら、関根の推進力や攻撃性能をうまく引き出していた。

 また、前体制では基本的にフル出場していた渡邊を川崎戦の終盤に下げ、千葉戦ではベンチからも外したものの、柏戦でスタメン復帰させ、背番号13はフル出場。一方で安居は柏戦でベンチ外となった。
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