局面での勝利を大局につなげていた
サッカーは勝利するため、チームとしての戦い方を形作る必要がある。
トレーニングを重ねる中で、ボールの通りに道を整え、人の動きをパターン化し、攻撃を構造的に作る。逆もしかりで、相手が作ろうとするルートを見つけ、前線、中盤、バックラインと有機的に対処することで敵をすり潰し、ボールを奪い返す。その攻守が、プレーモデルの根幹を担っている。
それはチーム力の高さに通じ、戦いに再現性を与える。同じプレーは二度とは起きないが、同じようなパターンの崩しやボール奪取の場面は意図的に作り出せる。それは勝利の道標となって、大きなアドバンテージになるのだ。
一方、そうしたグループ戦術ではなく、たった一人の選手が戦術的優位をもたらすのも、サッカーというスポーツの真理である。
チャンピオンズリーグ(CL)、ラウンド16でFCバルセロナのラミネ・ヤマルは、ニューカッスルを奈落の底に突き落としている。第1戦を1-1で終えたあと、第2戦だった。
トレーニングを重ねる中で、ボールの通りに道を整え、人の動きをパターン化し、攻撃を構造的に作る。逆もしかりで、相手が作ろうとするルートを見つけ、前線、中盤、バックラインと有機的に対処することで敵をすり潰し、ボールを奪い返す。その攻守が、プレーモデルの根幹を担っている。
それはチーム力の高さに通じ、戦いに再現性を与える。同じプレーは二度とは起きないが、同じようなパターンの崩しやボール奪取の場面は意図的に作り出せる。それは勝利の道標となって、大きなアドバンテージになるのだ。
一方、そうしたグループ戦術ではなく、たった一人の選手が戦術的優位をもたらすのも、サッカーというスポーツの真理である。
チャンピオンズリーグ(CL)、ラウンド16でFCバルセロナのラミネ・ヤマルは、ニューカッスルを奈落の底に突き落としている。第1戦を1-1で終えたあと、第2戦だった。
拮抗した状況で、ヤマルは縦パスを中央に流れて受けると、完璧なターンで相手のマークを外した。それだけで、自由にパスを出すことができ、味方にゴールに向かって走る状態を作り、見事にゴールへつながった。すぐに追いつかれたが、次にヤマルはサイドからするすると抜け出し、相手がたまらずにファウル。これで得たFKを味方が叩き込んでいる。
ヤマルは局面での勝利を、大局につなげていた。
実はこの後、ヤマルは自陣ゴール前で不用意なヒールパスを試み、これが相手に奪われてしまった。狙われていた節があって、ショートカウンターから再び同点弾を決められている。攻撃で圧倒できる選手の守備での軽率さだったと言えるだろう。
しかしその直後だった。
ヤマルは右サイドでボールを持つと、ゆっくりとした動きで相手を引きつける。そうしてピン止めすると、足を止まらせる。その隙を突くようにバックラインの裏へ走ったフェルミン・ロペスに向かって、アウトサイドを使ったスルーパスを通した。結局、これで間髪入れずに折り返したクロスに相手の対応が遅れ、ラフィーニャが倒されてPKに。再び3-2と逆転することに成功した。
ほとんど何もないところからでも、ヤマルは一瞬で守備を崩すことができた。ターン、ドリブル、スルーパス。特筆すべきはどれも平然とやっている点で、彼の存在そのものが戦術に近かった。チームとしての攻守がパターン化されているからこそ、彼も応用することができるわけだが、たった一人で勝負の潮目を作れる選手もいるのだ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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ヤマルは局面での勝利を、大局につなげていた。
実はこの後、ヤマルは自陣ゴール前で不用意なヒールパスを試み、これが相手に奪われてしまった。狙われていた節があって、ショートカウンターから再び同点弾を決められている。攻撃で圧倒できる選手の守備での軽率さだったと言えるだろう。
しかしその直後だった。
ヤマルは右サイドでボールを持つと、ゆっくりとした動きで相手を引きつける。そうしてピン止めすると、足を止まらせる。その隙を突くようにバックラインの裏へ走ったフェルミン・ロペスに向かって、アウトサイドを使ったスルーパスを通した。結局、これで間髪入れずに折り返したクロスに相手の対応が遅れ、ラフィーニャが倒されてPKに。再び3-2と逆転することに成功した。
ほとんど何もないところからでも、ヤマルは一瞬で守備を崩すことができた。ターン、ドリブル、スルーパス。特筆すべきはどれも平然とやっている点で、彼の存在そのものが戦術に近かった。チームとしての攻守がパターン化されているからこそ、彼も応用することができるわけだが、たった一人で勝負の潮目を作れる選手もいるのだ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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