【名古屋】リスクを冒して得点を取りに行く――。小屋松にかかる“ジョーカー”の期待

2016年09月14日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「小屋松は若く素晴らしい選手。次の試合でも期待している(ジュロヴスキー監督)

攻撃の切り札として期待がかかる小屋松。ジュロヴスキー監督からの期待も大きい。写真:田中研治

 名古屋は前節の新潟戦で19試合ぶりの勝利を手にした。依然として降格圏内の16位ながら、14位・新潟、15位・甲府との勝点差は4。闘莉王の電撃復帰とともにわずかに希望の光が見えてきたが、奇跡のJ1残留に向けて、得点力アップは乗り越えなければならない課題だ。
 
 ジュロヴスキー監督は先の新潟戦、1点リードの局面で、交代カード3枚はすべて攻撃的な選手(小屋松知哉、シモビッチ、松田力)を送り込んだ。守備の枚数を増やして逃げ切る選択肢があるにもかかわらず、である。小倉隆史監督の後を引き継いだ新指揮官は、その理由をこう説明する。
 
「リスクを冒さないといけない。それが今の我々です。これから勝っていくためには、もっともっと攻撃をやっていかないといけない。グランパスには勝利しか求められるものがないですから」
 
 いくら闘莉王を中心に守り抜いたとしても、ゴールを取らなければ勝てない。第2ステージでリーグワースト(4点)、年間通してもリーグ14位タイ(28点)と得点数が伸び悩んでいるだけに、「リスクを冒してでも得点を取りに行きたい」(ジュロヴスキー監督)というわけだ。
 
 そこでキーマン候補となるのが、若きスピードスターの小屋松だ。新潟戦は守勢に回る時間帯が長く、持ち前のドリブルやシュート技術を披露する場面はなかったが、ジュロヴスキー監督は「小屋松は若く素晴らしい選手。次の試合でも期待しています」とそのポテンシャルに惚れ込む。途中出場ながら、声を枯らしてまでチームメイトと意思疎通を図り、勝利に貢献した小屋松も「少しでもチームの力になりたい」とそれに応えるつもりだ。
 
「本来は攻撃が得意なので、(4か月ぶりの)勝利は嬉しいですが、ここからが重要です。コンディションは良い反面、試合にしばらく出ていなかった分、試合勘が足りませんでした。それは試合後、周りの選手からも言われたし、もっとゲームに出たいので、しっかり修正します。まあ、次ですね」
 
 残り6試合、小屋松が"ジョーカー"になれれば、降格争いから抜け出すことも不可能ではないはずだ。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
 
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