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今の横浜FCに伊藤翔がいない寂しさ。37歳で現役にピリオド。“当たり前”な熟練の技が好きだった【コラム】

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2026年03月27日

「なんかおっさんやっているな、みたいな(笑)」

19年のキャリアに終止符。伊藤が現役引退を発表した。写真:鈴木颯太朗

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 シャツのボタンを上から2つ外し、片手をポケットに突っ込み、肩で風を切って歩く(ように見えた)。

 清水エスパルス時代の伊藤翔だ。うわ、苦手なタイプだと、その時は正直思った。実際は、そんな偉ぶった人間でないことは、その後の取材でよく分かるのだが。

 個人的には不思議と縁のある選手だった。グルノーブルから清水に移籍し、マリノス、鹿島でプレー。日本で伊藤が所属するクラブを常に担当していたからだ。

「翔君、ごめん! 上田綺世についてコメントもらえる?」

 鹿島時代にお願いしたことがある。普通に考えれば、同じFWで、場合によってはライバルになる選手に関して訊かれても、良い気分はしないだろう。だが、伊藤は笑顔で「いいっすよ!」と快諾。上田がいかに凄い選手かを丁寧に教えてくれた。

 キャリア最後のクラブとなった横浜FCでも、よく取材させてもらった。ある日のトレーニングで、どちらかと言えば攻撃側にフォーカスした3対3のメニューで、伊藤はかなり高い強度でボール奪取を試みる場面があった。

「とりあえず、ちょっと行っておこうかな、と。一応、メッセージを込めてね。やらなきゃいけないよって。たとえば、俺が多少、ダラダラやっていても、たぶん別に何も言われない。でも、俺がガツガツやることで、なんかおっさんやっているな、みたいな(笑)。でも、そういう時のためのベテランだと思うから」
 
 ぶっとい芯のある選手だと思う。怪我でもなく試合に出られない時期があった時、心境を聞けば「試合に出る・出ない、メンバーに入る・入らないもそうだけど、それは自分でコントロールできないから。ちゃんと自分の身体とメンタルだけを保っておく。やれることはそれ以外ない」と話し、こう続けた。

「フィジカルとメンタルを整えておけば、いずれまた出番が来た時に、そこでいかにやれるかが大事なんで。そこらへんは別に、何事もなかったかのようにできる自信はある。練習はちゃんとやって、日々も普通に過ごす。その繰り返しじゃないですか。

 当たり前のことを当たり前にするって、けっこう(難しい)。ピッチの中でも、外でもそう。そういうことをやってきたがゆえの、長くできることではあると思う。そこらへんはマジ、無だから。無で練習する。今、自分がやれることにフォーカスしましょうねって」
 
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