【U-16日本代表】国際経験だけではない。U-17W杯出場が日本サッカーにもたらすもの

2016年09月06日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「2学年分くらいの成長速度を早める機会が勝つことで用意される」(森山監督)

久保らを擁するU-16日本代表は、来年のU-17ワールドカップの出場権を賭けてアジア予選に挑む。「2学年分くらいの成長速度を早める機会」(森山監督)へ駒を進められるか。注目だ。写真:徳原隆元

 9月15日からインドで開催されるU-16アジア選手権に臨む森山佳郎U-16日本代表監督と23名の選手たち。来年に迫ったU-17ワールドカップを目指すチームにとって、出場権獲得がもたらすものは想像以上に大きい。
 
 堂安律(G大阪)や冨安健洋(福岡)、佐々木匠(仙台)らひとつ上の世代は、2005年以来5大会ぶりにアジア予選で敗退している。U-20ワールドカップをみても分かるように、2大会連続で世界への切符を逃すと、そのまま世界の舞台から遠ざかる危険性を孕む。
 
 ただ、もしそうなったとしても、それは次代の選手たちが解消すべき問題である。ではU-17ワールドカップ出場の意義はどこにあるのか。森山監督は9月2日のメンバー発表会見で「成長」をキーワードに話してくれた。
 
「(9月1日に行なわれたロシア・ワールドカップのアジア最終予選の日本対UAE戦で)UAE代表の何人かはアンダー世代で世界のベスト4になったこともある。そういった選手たちは『日本なんて全然怖くないよ』というような堂々たるプレーをしていた。
 
 それを考えても、アンダー世代のワールドカップでの経験は非常に重要。地道に一段一段と成長の階段を上るだけでなく、一足飛びに急成長することだってある。世界で厳しい経験をすることが五輪やワールドカップにつながる。
 
 もしここで負けてしまうと、残念ながら継続して強化の形を取れないのが現状。尻すぼみになってしまう。選出されなかった、まだ陽の目を見ていない晩成型の選手たちも、1年後にU-17ワールドカップ出場という目標があれば、そこを目指して努力できる」
 
 まず国際経験、アジアレベルではなく国際標準の戦いを重ねられる点。そして、今は出てきていない晩熟型の刺激となる点。「2学年分くらいの成長速度を早める機会が勝つことで用意される」とも語ったが、まさにその通りだろう。
 
 U-16日本代表は7日から10日まで国内で合宿を張り、11日にインドへと発つ。初戦は現地時間16日20時(日本時間同日23時30分)のベトナム戦。注目の久保建英(FC東京U-18)らは、どういったプレーを見せてくれるのか。
 
 気が早いかもしれないが、地元開催となる東京五輪に00年生まれは最年少組として食い込めるのか。また01年生まれが飛び級で招集される可能性もゼロではない。そのための「成長の場」を是が非でも確保したいところだ。
 
 自分たち、そして日本サッカー界のために――。世界に足を踏み入れるためのアジアでの戦いが、ついに始まろうとしている。
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
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