【神戸】“デュエル”で浦和FW陣を手玉に取った高橋祥平。通算100試合目で輝いたワケとは?

2016年08月28日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

「チャンスは今しかないし、ここでアピールしようと思っていた」(高橋)

激しい守備で何度もピンチの芽を摘み取った高橋(8番)。先制点にも絡むなど、この試合のパフォーマンスは一段と輝いていた。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第2ステージ10節]神戸2-1浦和/8月27日/ノエスタ

【神戸2-1浦和】ホーム神戸が追撃を振り切って勝利!浦和との3連戦の初戦を飾る。

 
 年間順位で2位(26試合終了時)の浦和を下し3連勝を飾ったこの日の神戸で、主役をひとり選ぶとしたら誰か? 
 
 鋭い突破から先制点を奪ったペドロ・ジュニオール、貴重な追加点を挙げた渡邉千真、抜群のキープ力でチャンスを演出したレアンドロ……。候補者は前線の選手だけに止まらず、手堅い守りで浦和のアタックを抑制させていた守備陣に向けても良いだろう。その意味では、この試合でJ1通算100試合出場を果たした高橋祥平も候補のひとりに挙げられる。
 
 10試合ぶりに先発した前節のG大阪戦に続きスタメンに名を連ねた高橋は、1対1の守備、空中戦でアグレッシブな守備を披露。球際の攻防でも臆することなく力強くボールを狩り取り、マッチアップした李 忠成や武藤雄樹から自由を奪う。そのプレーぶりは、日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が求める"デュエル"そのものだった。
 
 33分には、見せ場が訪れる。敵陣から李 忠成へ縦パスが入った瞬間、いち早く反応してパスカット。そのボールが前線のレアンドロにつながると、そこからカウンターを発動し、P・ジュニオールの先制点が生まれた。
 
「狙っていたというよりは、途中でシャドーに対してのマークがあやふやになってしまい、強く行くようにベンチから指示があったので、狙っていこうという意識はありました。それが得点につながって良かったです」
 
 先制点の起点になった場面をこう振り返った高橋は、その後も守備面で奔走する傍ら、機を窺い攻撃にも積極的に顔を出した。
 
「浦和は守備も強くて、1対1では剥がせていなかった。だから(渡邉)千真さんと(松下)佳貴のところに絡んだらどうなるかなと思って上がってみたら全然ついてこなかったので、チャンスだと思いました。そこは次の試合も狙っていきたいし、チャンスがなければ守備に徹して貢献したい」
 
 あくまで守備に軸足を置きつつ、攻撃への意欲も欠かさない。その奮闘ぶりを踏まえれば、得点したP・ジュニオールや渡邉を差し置き、高橋を主役に選んだとしても異論はないだろう。
 
「チャンスは今しかないし、ここでアピールしようと思っていたので、結果につながって良かったです」
 
 J1通算100試合目という節目のゲームでここまで輝けたのは、リーグ戦での出場時間も少なからず影響していた。今季は前節まで7試合の出場(先発は4試合)と定位置を確保し切れず、8節のFC東京戦で途中出場するまで、約2か月にわたり出場機会はなかった。
 
 そんななか、先発出場を言い渡された前節のG大阪戦でアピールに成功し、この試合でも期待に応える働きを披露。この日のパフォーマンスを考えれば、この先でも出場チャンスは十分望めると言える。
 
「もっと試合に出たいし、今年は全然出ていないので。もっともっとチームに貢献して自分の良いところを出していきたい」
 
 第2ステージで5位に浮上したチームとともに、高橋も「反撃の狼煙」をあげようとしている。
 
 
取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)
 
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