人が壊れてしまう“厳しさ”「それはもう育成でも指導でもない」元Jリーガーの告白と警鐘「成長途中の子どもたちには、より慎重に考える必要がある」

2025年12月25日 サッカーダイジェストWeb編集部

「必ず向き合わなければいけないテーマ」

近藤氏がSNSを更新。指導現場の“厳しさ”に私見を綴った。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 現役時代は柏や千葉、東京Vで活躍。J通算400試合以上出場した元日本代表DFの近藤直也氏が自身のSNSを更新。「元プロ選手として、これは綺麗事ではなく実体験として書きます」とし、まず過去を振り返った。

「自分は現役時代、挨拶をしても無視される、練習で一切の指示も声もかけられず、まるで「存在しない人間」のように扱われた経験がある。

 それをすべてパワハラだと言い切るつもりはない。プロの世界は結果がすべてで、一般企業と同じ基準で単純に語れないこともわかっているし、厳しさがなければ到達できないレベルがあるのも事実」

 その"厳しさ"について、私見を綴る。

「ただ、はっきり言えることがある。その「厳しさ」の名のもとで、心を壊してしまった選手を、自分は実際に何人も見てきた。サッカーが嫌いになり、人と関わることが怖くなり、気づいたときにはピッチに立てなくなっていた選手たちです。

 そしてこれは、プロの世界だけの話ではない。育成年代、特に中学や高校の現場でも、いまだにパワハラに近い指導が多くあると耳にする。その中で、精神的に追い込まれてしまう子、サッカーを続けること自体を諦めてしまう子がいるという話も、決して珍しいものではない」
 
 指導者に悪意があったかどうか。近藤氏は「正直わからない」が、「無視され続けること 存在を否定されるような扱いを受け続けること それが「指導」で済まされる世界であっていいのか」と問題提起。「特に成長途中の子どもたちに対しては、より慎重に考える必要があると思っている」。

 勝利至上主義への警鐘。「勝てばいい。結果が出ていればいい。そうやって目をつぶってきたものの中に、本来、守るべきだった選手の人生があったのではないか。元プロとして、そこから目を背けるつもりはありません」。

 近藤氏は「厳しさは必要」と考える。「でも、人を壊してまで続ける厳しさなら、それはもう育成でも指導でもない」とも。

 そして最後に「この問題は、誰かを断罪するための話ではなく、日本サッカーが次の時代に進むために、必ず向き合わなければいけないテーマだと思っています」と締めくくった。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

【画像】日向坂や乃木坂の人気メンバー、ゆうちゃみ、加護亜依ら豪華タレント陣が来場、Jリーグのスタジアムに華を添えるゲストを特集

【画像】長澤まさみ、広瀬すず、今田美桜らを抑えての1位は? サカダイ選手名鑑で集計!「Jリーガーが好きな女性タレントランキング」TOP20を一挙紹介

【記事】「大谷翔平って何であんなに凄いの?」中村俊輔の素朴な疑問。指導者としてスーパースター育成にも思考を巡らせる
 
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事