監督・槙野智章が描く藤枝の“未来図”。就任会見で異例のプレゼン――14分に込められた覚悟「平均入場者数8千人以上を目ざす」

2025年12月15日 前島芳雄

新監督が見据える“勝点とハートを奪う”

J2藤枝の新監督に就任した槙野氏。写真:前島芳雄

 J2藤枝MYFCの新監督への就任が12月12日に発表された元日本代表の槙野智章氏。そのリリースの3日後、15日には異例の就任記者会見が行なわれ、監督としてのファーストキャリアの舞台に藤枝を選んだ理由と、そこで展開したいサッカーについて、次のように答えた。

「チームの理念、攻撃的なサッカーというところが、すごく自分と合うなというのがまず一つありました。あとは街の方たちの関わり方もそうですし、もっと大きくなるであろう可能性があるチームに、自分がどう加わっていけば大きくなれるのか。そこに興味がありました。

 観ている人も楽しい、やっていても楽しい、時間泥棒じゃないですけど、ファン・サポーターの方々が夢中になれるような攻撃的なサッカーを展開していきたいと思います」

 また自身の就任挨拶の際には、「まずは僕がどういうプランを持ってこのチームにやってきたのか、今後自分がどういうふうにやっていきたいのか、短くプレゼン形式で話したいと思います」と語り、自ら手作りした資料画像をスクリーンに映しながら、監督としてのビジョンを語り始めた。予想外の展開に静岡県内外から数多く駆けつけたメディア関係者にも戸惑う空気が感じられたが、蓋を開けてみれば実に彼らしい見事なプレゼンテーションだった。
 
 その全てをここでお伝えすることはできないが、サッカーに関しては「UBAU(うばう)」というキーワードを掲げている。

 自分たちからアクションを起こして「ボールを奪う、ゴールを奪う、勝点を奪う、ファンのハートを奪う」ことを実践していくという。また「サッカーの試合は、究極の祭りだと思っています」とエンターテインメント性も重視しており、その考え方は前任の須藤大輔監督と共通する部分も多い。これまでの藤枝スタイルを愛してきたサポーターにとっても喜ばしい部分だ。

 そのうえで目ざすサッカーについて「Mirageo(ミラージオ)」という造語を「来年の流行語を狙ってます」と言いながら提示した。

"Mirage=迷彩"、"Neo=新時代"、"Go=行く"の3つを組み合わせた言葉で「どこから攻めてくるかわからない、幻のような攻撃、観ていて予測不能で楽しいスタイル」と説明する。それが来年のゲームでどのように表現されるのか、まだ詳細は語られていないが、またひとつ楽しみな要素が加わったことは間違いない。
 

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