【磐田】ワールドクラスの一撃も空砲に…。小林祐「勝ちたい気持ちが増えて、逃げ腰なプレーになった」

2016年08月07日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

GKが一歩も動けない“ワールドクラス”の一撃で勝ち越すも…

トップ下でフル出場した小林は、味方と好連係を見せるなどキレのあるプレーで攻撃を牽引。鮮やかなゴールも決めたが、逆転負けを喫したチームに苦言を呈した。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

「間違いなく勝ちゲームだったと思う」
 
 試合後、名波浩監督がこうコメントしたように、内容で互角以上の戦いぶりを見せた磐田にとっては、受け入れがい結果だっただろう。

 複数人が有機的に絡む細かなパスワークをベースに試合序盤から主導権を握ると、8分に森島康仁のゴールで先制した。その後、PKで1点を返したFC東京に押される場面もあったが、4バックにシフトした後半は「完全にムリキをサイドで孤立させられた」(名波監督)こともあり、再びペースを取り戻す。
 
 指揮官が「勝ちゲームだった」と評したのも、そうした事実を踏まえてのものだろう。後半は立ち上がりから20分が経過するまでに三度の決定機を作る。そのうちのひとつをモノにしたのが、司令塔の小林祐希だった。
 
 52分、敵陣右サイドでボールを受けると、中央へ侵入しコースを見極めて迷わず左足を一閃。右にカーブがかかりながら絶妙なコースを突いたシュートは、ゴール左ポストに当たってそのままネットを揺らした。
 
 GKが一歩も動けない"ワールドクラス"の一撃。小林にとっては第2ステージ初ゴールとなる1点でチームを勢いづかせたが、その後に2失点して逆転負け。この結果に当然ながら満足できるはずはなく、試合後はチームの不甲斐なさに苦言を呈すように、こう吐き出した。
 
「勝たなきゃいけないです。(1点リードした後は)勝ちたい気持ちが増えて安パイ、逃げ腰なプレーになった」
 
 実際、名波監督も「色気が出た選手が何人かいた」と語っていたが、1点をリードした余裕が奢りを招いてしまったと、小林は分析する。一方で、自らのゴールについては多くを語らず、「もっと打てるチャンスがあったなと感じた」と、唇を噛んだ。
 
 とにかく悔しさしかない――。そんな想いは「今日は悔しいので、これくらいしか話せないです」と足早にミックスゾーンを去った姿からも感じられた。
 
 
取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)
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