【リオ五輪】滲み出る興梠の高揚感。「日本にいる時から高ぶっていた」

2016年08月04日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「3トップの距離感を上手くコンパクトにして、攻撃できるようにしたい」

オーバーエイジ選手として他の選手のサポートにも積極的に回ると公言。興梠の八面六臂に渡る活躍が期待される。写真:JMPA/小倉直樹

 いよいよ明日、手倉森ジャパンは"運命"の初戦を迎える。
 
「僕は日本にいる時から結構高ぶっていた。ようやく明日かという感じ」
 
 そう話すのは、7月31日に30歳となり、節目の年齢で自身初の五輪に臨む興梠慎三だ。オーバーエイジという立場ゆえ、必然と懸かる期待やプレッシャーも大きくなるが、「自分で(自分を)追い詰める必要はない」と語る。では、手倉森ジャパン最年長は、ナイジェリア戦の展開をどのようにイメージしているのか。
 
「ナイジェリアは強いチームなので、試合を通じて守る時間が多くなるかなと。でも、後ろに降り過ぎず、上手く守備をサボるじゃないですけど、カウンターの時には自分がボールをキープしないと攻撃にならないと思うので、前で身体を張ってキープすることが一番重要。まずは前半を0-0で凌いで、後半勝負で行きたいですね」
 
 ナイジェリア戦では4-3-3で臨むことが濃厚で、興梠は3トップの中央に入ると目される。警戒するのは、ウイングとの連係を分断され、前線で孤立してしまう事態だ。システムこそ違えど、4-2-3-1のCFでプレーした先のブラジル戦では、中盤との距離感が遠く、ボールを引き出せない状況に追い込まれただけに、同じ轍を踏むわけにはいかない。
 
「3トップのサイドが開き過ぎて、自分が孤立する形にはなりたくない。そこらへんは上手く距離感をコンパクトにして、攻撃できるようになればいいかなと。(ナイジェリアは)結構ボールサイドに寄る傾向があるので、上手く後ろで回しながら、相手ディフェンスを寄せてサイドチェンジとかも、すごく有効になってくる」
 
 興梠は五輪メンバー決定の会見で、「自分は目立つつもりはない」とU-23世代のサポートに回る意志を表明している。しかし、彼の活躍なくして日本の勝利は簡単には望めず、求められるのはやはりゴールだ。
 
「この一戦に懸ける想いは一人ひとり強い。あとは結果を出すだけ。まずは自分の持っているすべてを出して、チームのために戦うつもりです。チャンスは少ないかもしれないけど、1、2本の決定機を確実に決めたい」
 
 ナイジェリア戦の会場となるアレーナ・アマゾーニアに広がる歓喜の輪。その中心に笑顔の興梠がいるシチュエーションが訪れることを期待する。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト特派)

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