【リオ五輪】病と闘う戦友に勇気を――。南野が五輪に懸けるもうひとつの想い

2016年08月02日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「僕のプレーを見て、彼が少しでも勇気付けられれば。この大会で頑張りたい」

「グループリーグを突破できるか、初戦に懸かっている」。南野は大事な初戦に照準を合わせる。写真:JMPA/小倉直樹

 手倉森ジャパンはリオ五輪グループリーグ第1、2戦が行なわれるマナウスに移動し、決戦の地で初の練習を行なった。拠点を置くホテルには対戦国のチームも宿泊しており、南野拓実は「いよいよ本番が始まるなと感じています」と"本大会モード"に切り替える。

【リオ五輪PHOTO】決戦の地マナウスで初トレーニング

 アマゾンの真ん中に位置するマナウスは8月の平均最高気温が33℃、湿度も80%と過酷な環境。直前キャンプ地のアラカジュや親善試合を行なったゴイアニアよりもはるかに湿度が高いため、「蒸し暑い」(南野)。練習をしてみて「(ゲームでは)体力が奪われると思う」と見解を述べつつも、暑さへの免疫には自信があり、別段心配はしていないという。
 
「もともと暑さは苦手なタイプではありません。(出身地の)大阪の暑さを経験しているので。マナウスに来て、(これまでの中で)ここが一番暑いなと感じていますけど、初戦まで時間はあるし、蒸し暑さに慣れていければいいかなと思います」
 
 そんな南野が、五輪でプレーする姿を届けたい人物がいる。それが、新潟の早川史哉だ。大卒のルーキーDFは今年6月に急性白血病と診断されたことを発表し、現在闘病中。2011年のU-17ワールドカップでプレーした戦友を襲った突然の出来事に、南野も心を痛めていた。診断結果の公表前には、岩波拓也が発起人となって「11年U-17ワールドカップ世代」で早川にビデオメッセージを送ったという。
 
「(早川とは)直接電話でも連絡を取りました。大したことは伝えていないですけど、彼が帰ってきて、またいつか一緒にプレーできればいいなと。僕はピッチでプレーできるので、ありがたさというか、全力でプレーする。そして、そのプレーを見て彼が少しでも勇気付けられれば。この大会で頑張りたいと思います」
 
 3日後の初戦(ナイジェリア戦)は、選手たちが「重要」と口を揃える"大一番"だ。
 
「グループリーグを突破できるか、初戦に懸かっている。その重要性はみんな感じているし、良い準備をしていければいいなと思います」(南野)
 
 地球の反対側のブラジルから、戦友に雄姿を届け、メダルをプレゼントできるか。南野のもうひとつのチャレンジの行方を見守りたい。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト特派)
 
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