【総体女子】日ノ本学園の5連覇に死角なし!? 史上最強の呼び声も

2016年07月30日 川原 崇(高校サッカーダイジェスト)

準決勝は選手権優勝校の藤枝順心と対戦。

2試合で10ゴールを挙げ、4強に駒を進めた日ノ本学園。大会5連覇に向け、確かな歩みを続ける。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 前人未到のインターハイ5連覇に邁進する夏の絶対女王、日ノ本学園。ベスト4進出を賭けて関東大会準V・前橋育英との準々決勝に臨み、攻守両面でハイパフォーマンスを披露した。

【インターハイ】女子準々決勝PHOTOハイライト 日ノ本学園×前橋育英、星槎国際×作陽
 
 圧倒的なポゼッションで相手を自陣に押し込み、ダイレクトパスとドリブルを巧みに織り交ぜながら、瞬く間にチャンスを創出する。序盤こそ得点につながらなかったが、前半18分にMF吉間かれんのパスに呼応したMF平塚万貴が豪快に先制点を蹴り込むと、その3分後には期待の1年生FW澁川鈴奈との連係からMF目原莉奈が抜け出し、鮮やかなループショットで加点。一気呵成に畳み掛けた。
 
 チーム全体の守備意識は高く、激しいフォアチェックが絶え間ない。前線へのパスの供給源を寸断し、前橋育英のエース、島袋奈美恵にも自由を与えなかった。後半になるとMF古庄和奏、FW宮本華乃、MF髙島瑞希、MF髙橋雛と実力者を矢継ぎ早に投入し、高質なローテーションを展開。前掛かりになった前橋育英を上手くいなしながら時間を稼ぎ、終了間際に古庄が2ゴールを挙げ、圧勝を飾った。
 
 まさに盤石の戦いぶりだ。田邊友恵監督は「昨日(1回戦/桜の聖母学院に6-0で勝利)、今日と、インターハイのためにしてきた準備がいい形で結果につながってます。とくに攻撃のところで、選手たちが自由に出入りできている」と称えた。5年前の監督就任以来、夏の時点でここまで完成度が高いチームはなかったのでは? そう水を向けられても否定はせず、「たしかにこれまでとは違って、勢いだけじゃない強さは感じます」とコメントした。
 
 チームアタックの急先鋒となり、主将としてタレント軍団を束ねる平塚は、その進化をどう感じているのか。大会登録17名中、3年生はわずかに4人。昨年と同様の若いチームは、いかにして攻撃のバージョンアップを遂げたのか。
 
「2年前まではタテに速いサッカーでした。それが去年からポゼッションを大事にするスタイルに変わって、今年はその連係がさらに深まった感じです。攻撃の時は、味方同士の距離感をつねに考えてますね。練習では6対3や5対3を多くこなしながら、みんなでいろんなアイデアを出し合ってます。ひとつの形を作るんじゃなくて、局面や相手によって変化を付けられるように、最適な答を出せるように、日ごろからそこを意識して取り組んでいます」
 
 この攻撃時の高次元のフレア(閃き)こそが、チーム最大の強みだ。自陣深くに引き籠って堅陣を築く相手でも、ハイラインプレスで果敢にボールを奪いにくる相手でも、彼女たちはきっとマイスタイルを貫き通すだろう。
 
 魅惑のアタッキングサッカーに、さらなる磨きをかけてきた絶対女王。準決勝の相手は、こちらも神村学園と広島文教女子大附を連破し、調子を上げている選手権優勝校、藤枝順心だ。実力伯仲の好ゲームを期待したい。
 
取材・文:川原 崇(高校サッカーダイジェスト編集長)

女子 準々決勝の結果
日ノ本学園(近畿1) 4-0 前橋育英(関東2)
藤枝順心(東海1) 2-0 広島文教女子大附(開催地)
作陽(中国) 2-1 星槎国際(関東1)
十文字(関東3) 4-1 常盤木学園(東北1)

準決勝(7月31日)の組み合わせ
日ノ本学園(近畿1)×藤枝順心(東海1)
作陽(中国)×十文字(関東3)
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