「お前が8番つけるな」柿谷曜一朗が心ない誹謗中傷に苦しんだ過去を初告白。「力になることは絶対にない」「選手である前に人間」

2025年06月23日 サッカーダイジェストWeb編集部

同じ境遇に苦しむアスリートたちへのメッセージ

相次ぐアスリートへの誹謗中傷。柿谷氏は自身の経験を明かしつつ、強く警鐘を鳴らした。(C)SOCCER DIGEST

 今年1月に現役を引退した元日本代表FWの柿谷曜一朗氏が、6月22日に放送されたNHK「サンデースポーツ」にVTR出演。SNSなどを通してスポーツ選手に向けられる誹謗中傷が問題化するなか、ずって心に秘めていた現役時代の苦悩を全国放送で初めて明かした。
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 4歳でセレッソ大阪の下部組織の門を叩き、文字通りのエリート街道を歩んでいた柿谷氏。16歳でプロ契約を結んで「天才」と謳われるも、決して順風満帆なキャリアではなかった。徳島ヴォルティスでの武者修行などを経て徐々に存在感を高め、23歳でA代表に選出されると一気にスターダムを駆け上がる。そんななか、ブラジル・ワールドカップ出場の4年後となる2018年、心身の異変を感じたという。

「もうプレーどうこうじゃない。寝れない。練習場に行きたくない。いわゆるうつのような...。(うつになりかけた?)なりました。これは(世間に)出してないです。病院にも行きました。サッカーのことを考えると、息ができない。気管が狭くなるというか、常にハー、ハーってやらないと息が入っていかないみたいな」

 誹謗中傷は10代の頃から受け続けていた。「"何が天才やねん"って言われまくってました。本当にプレーに集中できなくなるくらい重いものなんで」と告白しつつ、最も傷つけられた言葉は「"お前が8番つけるな"と言われることが、"死ね"とかより俺にはきつかったですね」と振り返る。

 セレッソにおける8番は森島寛晃や香川真司がつけたシンボリックなナンバーだ。柿谷氏にとっても幼少期から憧れてきた番号であり、2013年シーズンに初めて託され、海外挑戦から帰国後の16年シーズンにもふたたび着用。「自分の存在価値はセレッソの8番であり続けること。俺が新しい8番を作り上げたかった。すべてを背負う覚悟があった」と意気込んでいた。

 だが結果は思うように出ず、あのフレーズが「100回や200回じゃない」ほど突きつけられたという。「全部自分の責任なのは分かっている。その責任を自分のなかで思い込んで追い込んでつらい思いをしているなかで、本当にその些細な言葉が大きいおもりとしてのしかかる。こういう時に人って消えてしまいたくなる、もしかしたら一番やってはあかんことをやってしまうんじゃないかなと...」と当時の胸中を紐解いた。

 さらに続け、「たとえば100個コメントがあったら誹謗中傷は10個とかなんですよ。でも自分のなかではそれがすべてになって入ってくる。そっちの人のほうが多いと考えてしまう」と説明する。それでも誰かに相談などはできず、「助けを求めることは、僕は恥ずかしいと思ってました。かっこ悪いと思ってました。何か周りに言われることでメンタルが落ち込んで、"ちょっと誰か助けて"は恥ずかしいと思ってました」と明かした。支えになってくれたのはやはり家族の存在。「ほんまに助けられました」と感謝を込める。
 
 今回の取材を受けたのは、同じ境遇で苦しむアスリートたちの助けになりたいとの思いからだった。柿谷氏は最後に次のように話して、インタビューを締めくくっている。

「言葉ひとつで選手のメンタルを傷つけることは本当に可能だと思う。それがその人からしたら何気ない一言であろうと、選手一人ひとりにとってはすごく言われたくなかったことやったりする。もちろん正当なことで、もしかしたら傷つけようと言ってるわけではないかもしれないけど、いちいち言わなくていいことが、その選手にはすごく刺さったりするので。逆に力になるとかよく言うけど、そんなもん力になることは絶対にない。

"プロのサッカー選手なんだろう"とか"プロやねんからそういう風に言われて当然だ""結果出されへんかったらそういう風に言われて当然だよね"って言葉も、ある意味誹謗中傷だと僕は思います。僕らはサッカー選手の前に人間なんで」

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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