昨季の低迷を考えれば、開幕前に予想した人は少ないだろう。だが、ナポリは2024-25シーズンのセリエAを制し、２年ぶり通算４回目となるスクデット獲得を果たした。

　ルチャーノ・スパレッティの下でマラドーナ時代以来となる33年ぶりのセリエA優勝を達成したナポリ。だが、そのスパレッティが退任した昨季は、２度の監督交代を必要とする混迷ぶりで10位に終わった。欧州カップ戦出場権も得られないほどの深刻な不振だ。

　これを受け、アウレリオ・デ・ラウレンティス会長は国内リーグでの優勝実績が豊富なアントニオ・コンテを招聘。さらにスコット・マクトミネイ、ロメル・ルカクといった指揮官が望む選手を獲得し、巻き返しを図った。

　すると、闘将コンテの下でチームは再生。冬のマーケットではフビチャ・クバラツヘリアをパリ・サンジェルマンに売却し、戦力ダウンを余儀なくされたにもかかわらず、国内随一のチーム力を誇るインテルとの優勝レースを制している。

　かつてイタリア代表でコンテを指導した経験を持つ名将アッリーゴ・サッキは、『Gazzetta dello Sport』紙でナポリの今回の優勝を「真の傑作」と表現。「誰よりも舞台にふさわしく、拍手を受けるべきはコンテだ」と、教え子に賛辞を寄せた。

「正直、コンテがいなければこのような快挙はあり得なかった。彼はプロジェクトの魂というだけでなく、肉体でもあった。目標達成のためにいつものように持てるすべてを出しつくし、チームを納得させるだけの力を見せた。ナポリの勝利は団結、犠牲精神、意欲、勇気の勝利だ。そして何より、サッカーが11人でやるチームスポーツで、個人スポーツではないことを明確に示している」

「最悪のシーズンで落ち込んだナポリに情熱をもたらすのが素晴らしかった。そしていつものような執念で目標を追い求めた。自分のアイディアを適用させつつ、ナポリのすべての人を味方にしながらね」

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　サッキは「就任したときはがれきだらけだったのは隠しても無意味だ。ナポリは歴史的なシーズンを経て、その後の騒動、多くの疑問を抱えていた。彼はその状況を前にまったく恐れることなく、獅子の勇敢さでスクデット獲得を目指したのだ」と称賛を続けている。

「最強のスカッドだったわけではない。だが、快挙を達成できた。忍耐をもってチームをつくり上げ、あらゆる成功の土台である技術的・人間的な価値を伝えた。個よりも集団を頼りにした。クバラツヘリア退団と代役獲得がなかったことも決定的だ。ほかの選手がさらに責任を感じるようになり、100％を出していたのが、120％、130％となった」

「今季途中にしばしば連絡をとってきたが、彼の言葉にはいつもチームに対する絶対的な信頼を感じた。本当にとんでもないことをやってのけたんだ。頭を下げ、拍手する以外にない。おめでとう」

　見事な復活劇を果たしたナポリと、その立役者のコンテ。周囲は昨季の二の舞とならず、継続的な強さを見せていくことを願っている。ただ、コンテが指揮をとり続けるかは不透明という状況だ。ナポリとコンテは来季をどう見据えているのか。結論が待たれる。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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