［J２第13節］仙台 ３－１ 山口／５月３日／キューアンドエースタジアムみやぎ

　昨季は惜しくもJ１昇格プレーオフに敗れ涙を飲んだ仙台が、J１自動昇格圏内の２位に浮上した。５月３日に行なわれたJ２第13節の山口戦に３－１で快勝した仙台は、１万5076人と今季最多動員となった観客を大いに沸かせた。

　チームに勢いを与えたのは、今季名古屋から移籍のDF井上詩音が20分に挙げた先制ゴールだった。

　MF武田英寿のコーナーキックから、ゾーンで守る山口の選手の間に入った井上が、ヘディングシュートを決めた。井上は「練習からニアのポジションに入って狙うという形は練習からやっていて、ヒデ（武田）がすごく綺麗なボールを蹴ってくれたので、僕はしっかりボールに頭を当てることを意識して、それがうまく入って良かったです」と先制弾を振り返った。

　実はこの試合、愛知県在住でともに仙台市出身の両親が応援に駆けつけていた。「今日、ゴールデンウィークというのもあって、家族、親とか見に来てくれたので、親の前でゴールを決められて良かったなと思います。ケガだけしないように、といつも言ってくれるので、ケガしないように次の試合も勝ちたいと思います」といつも心配してくれる両親に、ゴールで恩返しできたことを喜んだ。

　チームはその後失点したが、前半のうちにロングスローからのMF郷家友太のゴールで再び突き放し、後半にはこれまで再三チャンスメイクでチームに貢献していながら得点のなかったFW荒木駿太がネットを揺らし、３－１とほぼ完勝だった。
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　山口の激しいプレスをかわせた要因として井上は「（ボールを）受ける前に、どの選手がどの角度からプレスをかけて来てるのかを素早く情報認知できたので、相手のベクトルを折る作業を常にやり続けて、レノファさんがすごくボールに寄るので、逆サイドの（オナイウ）情滋のところも空くというのはミーティングでも（情報が）あったので、実際そこのロングボールでマイボールにできるシーンも何回かありましたし、（梅木）翼くんのところで収めてもらってマイボールにできるシーンもあったので、すごく作戦がうまくいったなと思います」とチームの戦術を忠実に実行できる戦術理解力の高さも井上の魅力だ。

　これで７試合負けなしだが、ここ７試合で複数失点の試合がなく、井上は守備でもチームに貢献している。

　中盤やFWは連戦でローテーションさせているが、井上とDF菅田真啓の両センターバックとGK林彰洋を全試合に出場させている森山佳郎監督は「前のほうは替えが利くけれど、後ろはなかなかというところです。ほんの何分かですが休ませることができたので、『ここでちゃんと考えて交代したから（連戦も）大丈夫だろう』と言い聞かせています」と井上も指揮官が大きな信頼を寄せる選手の一人となっている。

　堅守を支え、移籍後初ゴールも生まれた井上。「まずはしっかり無失点で終わって、今日みたいに僕のゴールでチームを勝たせられればすごく嬉しいので、次も僕が決めて勝ちたいと思います」と攻守でのチームへの貢献を誓った。

取材・文●小林健志（フリーライター）

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