オナイウ情滋が尊敬するクラブOBの前で“恩返し弾”「ハチ君の前でかっこ悪い姿は見せられない」【仙台】

2025年04月06日 小林健志

「絶対に自分でやりきろうと考えていた」

秋田戦で決勝弾のオナイウ(写真は昨季)。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

[J2第8節]仙台 1-0 秋田/4月5日/キューアンドエースタジアムみやぎ

 仙台vs.秋田の東北勢対決は、互いに球際で激しくぶつかり合うタフな試合だったが、開始10分の仙台の先制ゴールが決勝点となった。

 中盤で宮崎鴻がロングボールを収め、荒木駿太にパス。荒木は逆サイドを走っていたオナイウ情滋に展開する。オナイウはスピードに乗ったドリブルでゴールに向かう。

「駿太君からボールをもらって、ゴールへの道筋も自分の中では見えて、もうその時点で入ったとしても入らなかったとしても、絶対に自分でやりきろうと考えていたので、その判断がゴールという形になって良かったと思います」

 背番号27はパスやクロスを選択せず、少し右に流れて放ったシュートがゴールに吸い込まれた。

 前節の富山戦で相良竜之介、エロンが負傷し、武田英寿が出場停止という状況で迎えた秋田戦で、オナイウに今季初めて先発出場の機会が巡ってきた。森山佳郎監督は「怪我人と出場停止が出てチーム的にはかなりピンチでしたが、そういう意味で情滋は一つ大きな仕事してくれました」と窮地を救ったオナイウを称えた。

 仙台は3月26日に行なわれたルヴァンカップ1stラウンド1回戦で栃木にPK戦負け。PKを失敗したオナイウは「試合中、PK共に決め切れなかった自分の責任」とSNSで悔しさをあらわに。その悔しさを糧にしたゴールだった。

「チームにもサポーターにも本当に申し訳ないという気持ちがありました。だからと言って、それで自分が弱気になるとか、自信をなくすというのは絶対に嫌でした。自分がルヴァンカップの後、すぐ更新したSNSに対して、みなさんから温かい言葉をいただき、これで次もしチャンスがあった時に戦わなかったら、何のためにサッカー選手やってるんだろうと思っていたので、その思いをしっかりそのシュートに乗せられたかなと思います」
【動画】思い切り良く振り抜いた!オナイウ情滋の力感あふれる決勝弾
 この日は、今季から秋田のフロントスタッフとなった仙台・秋田両クラブのOB蜂須賀孝治氏が来場していた。オナイウは大卒ルーキーとして仙台に加入した2023年、当時は仙台の選手だった蜂須賀氏にかわいがられ、家族ぐるみの付き合いをするようになり、蜂須賀氏が秋田に移籍した後も常に連絡を取り合うほどの仲だった。

「ハチ君はもう秋田の関係者なんですけど、『出たら気にせず、もうやってくれよ』という話をしてもらっていたので、自分もハチ君の前でかっこ悪い姿は見せられないなという気持ちはありましたし、成長した姿を見せたいところもありました。

 自分が辛い時、それこそこの間、PK失敗した後もすぐに連絡をくれて、本当にいろいろ支えられてる部分があるので、そういう意味では恩返しと言うのはちょっと違うかなとは思うんですけど、でも返せるものはあったかなと思うので」と、蜂須賀氏の前で活躍を見せられたことをオナイウは喜んだ。

 尊敬する先輩の前でのゴールをきっかけに、さらなる成長を見せたいところだ。

取材・文●小林健志(フリーライター)

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