【ミドルゾーン解析】遠藤、阿部、柏木、今野、井手口…5人の“走り”をランキング。G大阪が浦和をここでも上回る

2016年06月18日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

両チームを通じて、井手口が走行距離1位。遠藤、今野のスプリント数も浦和勢に差をつける。

(左上から)遠藤、今野、井手口。(左下から)柏木、阿部。ミドルゾーン5人の走りが、試合の明暗を分けた――。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

[J1・1stステージ15節]ガンバ大阪1-0浦和レッズ
6月15日/市立吹田スタジアム
 
 
 浦和対G大阪戦で、勝敗を分けたポイントのひとつが、中盤の中央=ミドルゾーンの攻防だった。Jリーグを代表するMFの遠藤保仁、阿部勇樹、今野泰幸、そして現日本代表の柏木陽介、リオデジャネイロ五輪代表候補の井手口陽介。この実力派5人のトラッキングデータをランキングにした。
 
 それぞれのシステムも、選手の役割も異なる。あくまでもランキング化は「参考」程度と捉えてもらってもいいかもしない。それでも試合内容と同様、データ的に"勝っていた"のはG大阪勢だったことが分かる。
 
◇1試合の走行距離◇
1位 井手口陽介(G大阪)11.878キロ
2位 遠藤保仁(G大阪)11.497キロ
3位 柏木陽介(浦和)10.966キロ
4位 今野泰幸(G大阪)10.500キロ
5位 阿部勇樹(浦和)10.444キロ
 
※井手口は両チームを通じて1位。
 
 先制ゴールを演習した遠藤、ゴール前で鉄壁を築いた今野の活躍が光った一方、献身的に誰よりも走って貢献していたのがボランチの井手口だった。今野の周辺で衛星的に動き、相手ボールサイドに必ずチェックに行き、浦和の中盤の選手に自由を与えなかった。
 
 井手口が精力的にピンチの芽を摘もうとすることで、柏木や阿部に思うように走らせなかったと言っていいかもしれない。
 
◇1試合のスプリント回数◇
1位 遠藤保仁(G大阪)12回
1位 今野泰幸(G大阪)12回
3位 柏木陽介(浦和)11回
3位 井手口陽介(G大阪)11回
5位 阿部勇樹(浦和)7回
 
※遠藤、今野は両チーム通じて11位タイ。この試合の1位は、G大阪の藤春廣輝の30回。2位タイはG大阪の宇佐美貴史、阿部浩之、浦和の関根貴大の21回。
 
 試合中にボールの有無にかからわず、時速24㌔以上で走った回数。阿部は最終ラインをフォローする"CB兼任"のため回数が少なくなっている。

 ただ、両チームともに行ける時には、縦に鋭く仕掛けたり、プレスを掛けに行ったりすることを狙っていた。G大阪の3人のスプリント数は決して多くはないものの、浦和勢を上回っている。

 その少しの差が、G大阪のほうが多くの決定機を作り、浦和はチャンスすらなかなか作れなかったという、内容的な大きな差につながったのかもしれない。
 
 浦和はペトロヴィッチ監督のもと、オフ・ザ・ボールを含めた、走りの質と量にこだわってきた。もちろん夏場に差し掛かり、しかも連戦中とあって、走りにこだわるには条件的に厳しい。

 それでも相手に襲い掛かるようなスプリント、味方を追い越して駆け上がって数的優位を作る――という迫力ある動きを表現することで、選手個々の特長も活きてくるし、観る者の心をも動かるはずだ。

 
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)
 
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