オーバーエイジ決定! 藤春の得意技は「どんなボールでも、僕がナイスパスにしてあげる」

2016年06月16日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

25分、相手選手と交錯してピッチサイドに倒れ込み、一瞬、緊張が走ったが……。スプリント回数、圧倒的1位を記録!

手倉森監督が見守るなか、左サイドバックでフル出場した藤春(左)。駒井(右)とのマッチアップでも崩されることはなかった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

[J1・1stステージ15節]G大阪1-0浦和
6月15日/市立吹田スタジアム
 
 
 サッカーのリオデジャネイロ五輪日本代表にオーバーエイジで招集されることが内定したG大阪のDF藤春廣輝が、視察に訪れた手倉森監督の前で躍動感溢れるオーバーラップを繰り出し、浦和撃破に貢献した。
 
 左サイドバックで先発した藤春は、対峙する今季初先発したウイングバック駒井善成にドリブル突破を許さず、ボールを奪えば思い切ったオーバーラップを仕掛けていった。
 
 しかし25分、ロングボールに対し駒井と交錯。ピッチサイドで苦悶の表情を浮かべ、しばらくの間倒れ込み、スタジアムに緊張が走った。しかし、治療にあたったチームドクターが問題ないと確認。再び戦列に戻った背番号4は、再び黙々と右サイドのアップダウンを繰り返し、1-0の完封勝利に導いた。
 
 その旺盛な運動量が魅力的だが、子どもの頃から「前が空いていれば、どこまでも走っていける」と言うぐらい"走り"には自信を持ってきた。だから、今も目の前に空いたスペースに、どんなボールが飛んで来ても追い付けるという自負がある。
 
「どんなボールでも、僕がいいパス、ナイスパスにしてあげる。それぐらいの気持ちを持っています」
 
 ミスに見えるようなコースを外れたキックでも、かなり無茶と思えるスピードのキックでも……俺が拾って、ナイスパスにしてみせる、というのだ。
 
 リオ五輪でのオーバーエイジ選出内定により、一躍注目の的となった。その発表後最初に臨んだ浦和戦。しかも、手倉森監督が視察に訪れるなか、その走りっぷりを含め、しっかりと持ち味を発揮して勝利したあたり、強心臓ぶりも感じられる。
 
「日本のため、ひとつでも上を目指したい」
 
 浦和戦で叩き出したスプリント数30回は、両チーム通じて圧倒的1位だった(2位は関根貴大、阿部浩之、宇佐美貴史の21回)。リオ五輪のピッチでも、藤春が気持ち良くボールを追いかけられるか――。彼が勇躍した時、それは日本にビッグチャンスが訪れる予兆に違いない。
 

取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)
 
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