「僕は一見、華やかな経歴には見えますが…」JリーグMVPの武藤嘉紀、受賞スピーチで明かした苦悩と愛する家族への想い

2024年12月10日 サッカーダイジェストWeb編集部

神戸から2年連続2人目

2024年シーズンのJリーグMVPに輝いた武藤。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 Jリーグは12月10日に開催された「Jリーグアウォーズ」で、2024年シーズンの最優秀選手賞を発表。ヴィッセル神戸の武藤嘉紀が初受賞した。

 32歳のFWは今季、37試合に出場して13得点を記録し、神戸のJ1連覇に大きく貢献。神戸からのMVP受賞は昨年の大迫勇也に続いて、2年連続2人目となった。

 登壇した武藤は受賞スピーチで「まずは2024年のJリーグを盛り上げてくださった選手の皆さま、そして各チームのファン・サポーターの皆さま、そしてJリーグ開催にあたって、ご尽力され、多大なサポートをしてくださったスポンサー企業の方々、本当にありがとうございました」と切り出し、続けてこれまでの苦悩や家族への感謝を口にした。

「JリーグMVPという歴史と名誉ある賞をいただき、心より嬉しく思います。僕は一見、華やかな経歴には見えますが、多くの怪我、挫折、羽陽曲折を経て今があると思っています。

 ヨーロッパでは1年間以上、ベンチにも入ることができず、家を出る時のドアが非常に重く、そして帰り道に泣きながら『Mrs. GREEN APPLE』さんの『僕のこと』を大熱唱して運転していたのを今でも鮮明に覚えています。
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 しかし、そういった苦しい経験、逃げ出したくなるようなそういった経験が僕を人としても、サッカー選手としても強くしてくれたんだと、今では感じられます。

 今まで僕自自身、ひとりで乗り越えられたことはひとつもありません。僕を支えてくれた家族。家族なしでは今の僕は決していないと思っています。まずは両親、底抜けに明るく面白い、そして気高く強く、いつでもどんな時でも、良くも悪くも謙虚でいなさいと口酸っぱく言ってくれた母。5人兄弟ですけど、ひとり一人に多くの愛情を注いでくれました。

 そんな人の子どもに生まれたことを僕はとても誇りに思っています。本当にありがとうございます。

 そして妻と子どもたち、サッカー馬鹿な僕にいままでついてきてくれて本当にありがとうございます。単身赴任で月に1回、帰れるかどうか分からない僕ですが、子ども一人に熱や風邪があると、うつるわけにはいかないと言って帰るのをキャンセルしてしまったり、腰を痛めたらだめだということでだっこや肩車もほとんど子どもたちにはしてあげれませんでした。

 授業参観、幼稚園の行事、何ひとつ見てあげることはできませんでしたけど、いまこうやって、そういった犠牲があってこの素晴らしい賞を、そしてJリーグ2連覇、天皇杯優勝、それを成し遂げられたことは本当に家族の支えがあってこそだと思っています。このMVPという賞は家族に送ります」

 そして最後は「来シーズンからさらに成長できるように、地に足を付けて慢心せず日々努力し、これからも邁進していきたいと思っています。本日はありがとうございました」と締めくくった。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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