「もっとカオル君にコンタクトをしておかなきゃ…」三笘薫に得点を許した菅原由勢が猛省。日本代表戦士とのマッチアップで感じたプレミアの“レベルと怖さ”「カオル君には尊敬の念がある」【現地発】

2024年12月02日 松澤浩三

サウサンプトンは最下位に低迷し続けている

三笘(右)と激しいマッチアップを演じた菅原(左)。(C)Getty Images

 サウサンプトンの菅原由勢は、自身とチームが置かれた厳しい現状を理解し、苦しさと楽しさの両方を実感しながらプレミアリーグのデビューシーズンで奮闘を続けている。

 思い返せばわずか18か月前。当時オランダのAZに所属していた菅原は、ヨーロッパカンファレンスリーグでイングランドを訪れていた。1-2で敗れたウェストハム戦にフル出場した後の囲み取材では、次のように話していた。

「ゲームの進め方が相手のほうが1枚も2枚も上手に感じた。中身を見ればセットプレー2回で2失点だけど、それが強さ、違いだと感じました。強度も、最後を見れば分かりますが、僕らはフォワードが前に一人残ってあとは全員で守って。カウンターをしようとしても追い越せる選手がいない。逆に疲れ切っている中でも相手は走っていた。強度の違いはかなり感じましたね。レベルの高い相手とやれるのは、僕自身楽しい。楽しい90分だったし、こういう舞台(プレミアリーグ)に来たいです」 

 そして欧州に渡って6シーズン目となった今季。ついにその言葉を現実のものとして、憧れの舞台にたどり着いた。しかしながら、イングランドのサウスコーストで始まったプレミア挑戦は、順風満帆からはほぼ遠いのが現状だ。ここまで13節までを終えて、挙げた勝利は一つのみ。総勝点数はわずか「5」で、プレーオフを制して2季ぶりにイングランドのトップリーグに戻ってきたサウサンプトンは、最下位に低迷し続けている。
 
 そんななか菅原は、開幕戦から右ウィングバックとしてスターティングメンバーに名を連ね、第3節のブレントフォード戦では今季のチーム初得点、自身にとってもプレミア初ゴールとなる一撃を左足で鮮やかに沈めた。ポゼッションサッカーを志向し、攻撃重視の強気なラッセル・マーティン監督のチームにおいて、背番号16は得意とするオフェンス面での能力の高さが重宝された。

 一方で、指揮官がこだわるサッカーは、守備面で大きなリスクを伴うハイラインがベースとなる。昨季チャンピオンシップ(実質2部)で成功したハイリスク・ハイリターンのサッカーを継続しているわけだが、ここまでのセインツ(サウサンプトンの愛称)の総得点数はリーグ最下位の10、総失点数は同ワースト3位の25である。一試合平均の得点数は0.77で、逆に失点数は1.92となっている。

 開幕直後からチームの守備は不安定な状態が続き、その一役を担う菅原も試合を重ねるごとにミスが目立つようになり、失点につながる直接的なプレーも散見されるようになった。例えば7節のアーセナル戦。決勝ゴールの場面では、対処すべきガブリエル・マルティネッリをまるでノーマークで残して簡単に失点を許し、さらにブカヨ・サカのダメ押し点の際には、ボックス内でのコントロールミス。痛恨の失敗をしている。

 それでも怪我から復帰した10節のエバートン戦では、終盤から途中出場して、初アシストをマーク。チームの今季リーグ戦初勝利に貢献してみせた。しかし12節のリバプール戦では、再び終盤にピッチに送り込まれたものの、ボックス内で不用意なハンドを取られてPKを献上。ここでも決勝点を許して、守備面での甘さが見られた。
 

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