【今日の誕生日】6月1日/間もなくチチャリートが母国の新たな歴史を創る――ハビエル・エルナンデス(メキシコ代表)

2016年06月01日 サッカーダイジェストWeb編集部

ビッグクラブで苦しいシーズンを過ごすも、ドイツで再浮上!

28歳になったベビーフェイス。コパ・アメリカでも結果を残して、来シーズンのさらなる躍進に繋げたいところだ。 (C) Getty Images

◇ハビエル・エルナンデス:1988年6月1日生まれ メキシコ・グアダラハラ出身

 今夏はEURO2016、リオデジャネイロ・オリンピックといった、4年に一度のビッグイベントが行なわれるが、このふたつの大会に先んじて、6月4日より「コパ・アメリカ・センテナリオ」がアメリカで開催される。
 
"センテナリオ"からも分かる通り、これは大会創設100周年を祝う記念のものであり、過去最多の16か国が出場する(昨年のチリ大会は12か国)。
 
 南米だけでなく、北中米各国も招待国として参加することになるが、そのなかにはメキシコも含まれている。1993年にコパ・アメリカが門戸を広げて以来、9大会に出場し、準優勝2回、3位3回という好成績を挙げている。
 
 今回も上位進出が期待されるメキシコだが、そんなチームの攻撃の中心として注目されるのが、「チチャリート」ことハビエル・エルナンデスである。
 
 チチャリートとは「小さなエンドウ豆」という意味であり、これは1986年に自国開催のワールドカップに出場した父親ハビエル・エルナンデス・グティエレスが「チチャーロ(=エンドウ豆)」と呼ばれていたことに由来する。
 
 天性のゴール感覚に恵まれたストライカーであり、スピード、高さも持ち合わせており、相手DFにとっては常に脅威となる存在。プレーは、その童顔には似合わないほどの凄みに満ちている。
 
 2006年にグアダラハラでプロデビューし、在籍最終年となる10年にはリーグ得点王に輝いた。その前年にはメキシコ代表で初キャップを刻んでいた彼には、欧州のクラブから熱い視線を注がれた。
 
 そして、この逸材を手に入れたのがマンチェスター・ユナイテッド。22歳のチチャリートは名門クラブの一員として、ファーストシーズンは27試合13得点を記録し、PFAの最優秀ヤングプレーヤー賞にノミネートされた他、ファン投票によるクラブの最優秀選手に選出された。
 
 欧州挑戦は上々のスタートを切り、以降の2シーズンも2桁ゴールを記録。しかし、アレックス・ファーガソン政権の終焉とともに彼のパフォーマンスも低下し、14年夏にルイス・ファン・ハールが監督に就任すると、構想外を宣告されてしまう。
 
 そんな彼に興味を示し、移籍市場が閉まる寸前にレンタルで獲得したのがレアル・マドリー。ビッグクラブ間を移動したチチャリートだったが、ここでは7試合の先発出場(23試合7得点)に止まり、シーズン後にマドリーは滞在の延長を望まなかった。
 
 ユナイテッドに戻るも、やはりファン・ハールの構想には入らないチチャリートは、移籍市場最終日にレバークーゼンに新天地を求める。今度は完全移籍であり、約16億円の大金が動いた。
 
 新たなストライカーを欲していたレバークーゼンで、チチャリートは水を得た魚のごとく躍動。シュテファン・キースリンクに代わってチームのエースとなり、ランキング4位の17ゴールを挙げた。
 
 そしてチチャリートは今夏、勢いそのままにコパ・アメリカ・センテナリオに臨む。代表としてのタイトルは、自身が得点王&MVPに輝いた11年のCONCACAFゴールドカップだけであり、特別大会とはいえ、意欲的に優勝を狙っていくことだろう。
 
 また彼は、現時点で代表キャップ数83を数えるが、得点43は歴代2位である。トップのハレド・ボルヘッティとの差はわずか3であり、今大会中の更新も十分にあり得る。
 
 メキシコ・サッカーの歴史を変えるとともに、ウーゴ・サンチェス、ルイス・エルナンデス、クラウテモック・ブランコ、ボルヘッティといった、母国の世界的名ストライカーとともに、レジェンドとして永遠にその名を語り継がれることになるのは、間違いなさそうだ。
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