ふたりの日本代表戦士を知る松井大輔が証言。「(小林)祐希は(本田)圭佑っぽいところがある」

2016年05月30日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「祐希には自分を貫き通して世界的な選手に育ってほしい」(松井)

小林祐希に代わってピッチに立った松井だったが、劣勢のチームを救うことができなかった。 (C)SOCCER DIGEST

 0‐0で迎えたJ1・14節・川崎戦の84分、松井大輔は日本代表に初選出された小林祐希に代わってピッチに立った。交代の意図は名波浩監督曰く「(小林が)前へのパス、ボールコントロールが少しずつ甘くなって、自分のミスにイライラしていたので」。松井は、川崎に傾いた流れを変える役割を託された。
 
「監督からはとりあえずボールキープするように、と。守り抜くとかじゃなく、監督がいつも言っているように、前向きなプレーでリズムを作って、得点を狙いに行きました」
 
 しかし、川崎の怒涛の攻撃の前に、守備に追われる時間が長く、思うようにボールを収めることができない。88分にはなんとか持ち応えていた守備陣がオウンゴールを喫して失点。松井もチームも見せ場を作れず、0-1で敗れてしまった。シュートは相手の半数以下の5本、決定機はゼロと、スコア以上の差があった感は否めない。故障で戦列を離れていたジェイの復帰で、戦術面の勝手が多少変わった影響もあるが、アタッキングサードでのプレーの質を上げて行かないと、川崎のような上位陣には勝てないと松井は語る。
 
「ジェイのところですごく収まるので、そこを起点にして上手く攻撃できればいいですけど、今日はなかなか難しかった。もう少しつなぐことができないといけないし、ウチはパスやラストプレーの質がどうしても落ちてしまう。個々の能力アップを含めて、もっと"糊付け"していく必要があると思います」
 
 川崎戦では、ハリルジャパンの一員となった小林祐希が大きな注目を集めた。背番号4、左利き、そして強気な発言ぶり――。数々の共通点から「本田2世」との論調は日に日にヒートアップしている。小林祐希本人は、試合後に「本田圭佑は本田圭佑、小林祐希は小林祐希」と語ったが、2010年の南アフリカ・ワールドカップをともに戦うなど、本田のこともよく知る松井の目には果たしてどう映っているのか。
 
「(小林)祐希は今凄く成長していると思うし、これからの選手。発言や練習への意識の高さに関しては、たしかに(本田)圭佑っぽいところはあると思います。自分にかけたプレッシャーを撥ねのけながら、有言実行していったらいいんじゃないですかね」
 
 そして松井は、ひと回り年下の後輩に、自分を貫き通すように、と言葉を続けた。
 
「あとは、強い精神力を持ちながら、『絶対に負けない』という自分のスタンスを貫き通せばいい。代表で頑張ってきてほしいし、これから世界的な選手に育ってくれれば楽しみですね」
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
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