「めちゃめちゃ悔しいですけど…」3戦連続“終盤投入”の田中碧が語った本音。監督もメディアもファンも評価しているのになぜ出場時間が少ないのか。リーズ番記者が明かす事情「辛抱強く待たなければならないだろう」【現地発】

2024年09月26日 松澤浩三

アウェーサポーターから「タナカ」チャントが

ここまでまだスタメンがない田中。(C)Getty Images

 今夏の移籍期限最終日の8月30日にイングランド2部のリーズ・ユナイテッドへ滑り込みで加入した田中碧。日本を代表するプレーメーカーがフットボールの母国でどこまで実力を披露できるのかに注目が集まるが、移籍から3週間経過した現時点では途中出場での起用が続いており、まだ真価を発揮しきれてはいない。

 直近に行われた敵地でのカーディフ戦も同様だった。試合終了間際にピッチに送り込まれると、与えられたゲームタイムはアディショナルタイムの8分間のみ。2点リードした場面での起用は、一般的には時間稼ぎのための交代と見られるが、そんな状況でも田中は十分な存在感を見せつけた。

 チームメイトたちが移籍して間もない背番号22にボールを集めると、それを丁寧に、そして上手にさばいて時計の針を進ませて勝利に貢献した。カーディフシティスタジアムを訪れた多くのアウェーサポーターから「タナカ」チャントが起こったが、彼らがこの26歳を評価しているのは一目瞭然だった。
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 試合終了後、取材に応じた田中は短い出場時間でのプレーを「まあゲーム終わらせろみたいな感じで言われて入ったんで。相手にボールを渡すことなく、シュートを打たせることなく終わらせられたんでよかったかなと思います」と淡々と振り返った。

 下位に低迷し、開幕からの5試合で1ゴールしか取っていないカーディフとの対戦。それだけに試合前のリーズファンの多くは、現チームに所属するミッドフィールダーの中で数少ない試合の組み立てができ、攻撃的に振る舞えるタイプの田中の初先発を期待していた。

 それは地元紙『ヨークシャーイブニングポスト』でサッカー部門主筆としてリーズの番記者を務めるグラハム・スミス氏も同様で、同紙主催のポッドキャスト『インサイド・エランドロード』では次のように話していた。

「今のカーディフは苦しい状況にある。だがそれでも後方から組み立てようとするし、"パーク・ザ・バス(自陣ゴール前に多くの選手を配置して守備を徹底する戦術)"はしない。だから失点も多く、さらに決定力もないから得点はここまで1点のみ。そんな相手に守備的な6番は2人も要らないのだから、絶対にタナカを起用すべきだ。攻撃面でも頼りになる8番タイプの彼をね」
 

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