【G大阪】“3.11”への想いを込めた今野の一撃でホーム初勝利。「自分のプレーは地味だけど…泥臭く、最後まで諦めないところを見てもらいたい」

2016年03月12日

今野の記念すべき“リーグ戦初ゴール”が、新スタジアム初勝利を呼び込む。

49分、宇佐美のCKに反応した今野が新スタジアムでリーグ戦初ゴール。この一撃でチームは勢いに乗り、61分に追加点を決めた。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)


 この日のヒーローは、吹田サッカースタジアムで記念すべき"リーグ戦初ゴール"を決めた今野泰幸だった。
 
 0-0で迎えた49分、宇佐美貴史の左CKに飛び込んだ今野が頭で合わせてG大阪が先制。「ゴールに向かって無心で合わせた」という一撃がチームに流れを呼び込んだ。そして61分、遠藤保仁の絶妙なスルーパスに抜け出した藤春廣輝がラストパスを送り、阿部浩之が追加点を決めた。
 
 終盤、大宮に1点を返されたが、G大阪が2-1で逃げ切り"吹田初勝利"。今野は「ほっとしています」と安堵の表情を浮かべ、さらに「良い雰囲気だし、最高のスタジアムだと思っているので、これからここでもっと良いサッカーと勝利をみなさんに見せたい。まだまだ良くなる部分もあると思うので、満足せずにやっていきたい」と気を引き締めた。
 
 丹羽大輝の負傷離脱でCBに入る試合が増えた今野は「だいぶ慣れてきた感がある」と手応えを口にする。「ジョン(金正成)に助けてもらっている部分も多いけど、少しずつだけどポジショニングも良くなっているし、自分の持ち味である動きも出せている。ジョンにラインコントロールをリードしてもらいながら、ふたりで話し合いながら上手くできていると思う」と語るなど、連係構築は順調のようだ。
 
 ドラガン・ムルジャと激しい攻防を繰り広げ、空中戦ではファウルを取られる場面も見られたが、老獪な寄せで巧みに封じた。その要因を、今野はこう明かす。
 
「行く時とカバーする時があるけど、これまでは"行くべき時"に行けていない時も多かった。今日はインターセプトができていたし、起点を作らせなかったと思う。ファウルを何回かしてしまったけど、あれぐらい行っていいのかなと思うけど……分からない」
 
 3月11日――東日本大震災から5年が経ち、今野は「東北出身として思うところはたくさんある」と打ち明ける。そして、こう言葉を紡ぐのだ。
 
「自分のプレーは地味だけど、一生懸命、泥臭く、最後まで諦めないというのが特長。そういうところを少しでも見てもらって、みなさんに勇気を与えたいと思う。将来、サッカー選手がたくさん出てくればいいなと思う」
 
  様々な想いが込められた今野のメモリアルゴールが、"新スタジアム初勝利"を呼び込んだ。
 
取材・文●大木 勇(サッカーダイジェスト編集部)
 
 
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