J2仙台、“走力・球際・切り替え”を武器とした過去の面影はなし。連敗のチームに求められる「戦う姿勢」

2023年09月17日 小林健志

3試合連続無得点。再びチームには閉塞感…

連敗を喫した仙台。チームは再び閉塞感に覆われている。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

[J2第35節]仙台0-1水戸/9月16日/ユアテックスタジアム仙台

 7月に監督交代に踏み切った仙台。堀孝史監督就任後、しばらくは結果が出なかったが、8月19日のJ2第31節・大宮戦(1-0)と、8月26日の第32節・大分戦(3-2)で連勝。この夏に補強で獲得したMF松崎快、MF長澤和輝、MF齋藤学がいずれも主力に定着し、チーム状況がようやく上向くかに見えた。

 しかし、9月に入り、再びチームは閉塞感に覆われている。9月3日の第33節・甲府戦(0-0)以降、3試合連続無得点。加えて第34節の岡山戦と今節の水戸戦は、試合終盤での失点によりいずれも0-1で敗れた。

 水戸戦は「前半の戦いが良くなかった」と堀監督も認めた通り、前半は水戸にボールを支配され、何度もピンチを招く展開が続いた。しかし、「もう一度しっかりと自分たちで戦う姿勢を出していこう」と指揮官がハーフタイムで檄を飛ばして迎えた後半は、サイドを起点にして決定機を作れるようになっていく。

 55分には松崎、MF鎌田大夢がGKと1対1の場面を作り出し、連続シュートを放つが、いずれも水戸GK山口瑠伊のビッグセーブに阻まれた。
 
 最大のチャンスは61分、左サイドバックのDF内田裕斗がペナルティエリア内で倒されてPKを獲得したシーンだった。

「FW(ホ・ヨンジュン)に当てた時に前にスペースがありました。前日に海外のプレー映像を見ていて、その時にイメージが湧いて入りこんでPKになりました」(内田)と積極的なトライがPKを呼び込んだ。

 しかし、ホ・ヨンジュンが左に蹴ったPKはコースが甘く、山口にキャッチされてしまった。「GKコーチと分析したうえで最後は自分の判断でしっかり止められました」とこの日、ファインセーブを連発した山口は自信を持って語った。

 そして0-0で迎えた終盤の84分。その直前に水戸MF武田英寿のシュートを防いでいたが、その後のセットプレーからの流れで、水戸のスローインとなる。ここで素早くリスタートした水戸はMF永長鷹虎が、マークに付いた仙台MF松下佳貴を振り切り、クロスを上げる。そして仙台CBの間にポジションを取っていたFWブワニカ啓太のヘディングシュートが決まって先制を許し、これが決勝点になった。

 2試合連続の終盤での失点に対し、堀監督は「現実そういう2試合が続いているので、交代選手を含めて最後のところでの徹底がより必要」と語る。「最後のリスタートのシーンで、まだはっきりと確認はできていませんが、自分たちの守り方がしっかりできていたのかをまず確認しなければいけないと思っています。最後にやられてしまうところも、気持ち、メンタルを上げなければいけないと思っています」と振り返ったが、こうした勝負どころでの球際や、守備対応の甘さは、伊藤彰前監督時代、昨季の原崎政人元監督時代、ひいてはJ1で低迷が続いていた時期から、思うように改善できていない。
【画像】セルジオ越後、小野伸二、大久保嘉人、中村憲剛ら28名が厳選した「 J歴代ベスト11」を一挙公開!

次ページ「勝利はこのエンブレムを付けている以上、絶対の義務」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事