【ビッグクラブの回顧録】“あの時”のユナイテッドを振り返る vol.3~1992-93シーズン ~

2016年01月25日 サッカーダイジェストWeb編集部

26シーズンぶりのリーグ優勝でプレミアリーグ初代王者に君臨。

66-67シーズン以来のリーグ優勝を成し遂げたユナイテッドの面々(左からインス、ヒューズ、ギグス、シャープ)。 (C) Getty Images

 1986-87シーズンにアレックス・ファーガソンが就任してから6年の年月が経過し、ユナイテッドは3つ(89-90:FAカップ、90-91:カップウィナーズ・カップ、91-92:リーグカップ)のタイトルを獲得し、勝者の輝きを取り戻しつつあった。
 
 しかし、それらはいずれもカップ戦であり、ファンが待ち望んでいたリーグタイトルからは見放されたままだった。
 
 こうして迎えた92-93シーズンは、イングランド・サッカー界、いやサッカー界全体にとって歴史の転換期となった。
 
 フーリガンによる暴力沙汰が横行し、華やかさにも欠け、人気低迷の一途を辿っていたディビジョンリーグから、テレビでの全国放送などエンターテイメント性重視の明確なビジョンを打ち出した『プレミアリーグ』が発足したのである。
 
 華々しくその歴史の幕を開けた新たなリーグで、しかしユナイテッドはスタートダッシュに失敗。エースのヒューズが厳しいマークに遭って攻撃力が低下したことで、深刻な決定力不足に悩まされてしまう。
 
 そんなチームを救ったのが、11月にリーズから獲得したエリック・カントナだ。すでにプレミアリーグで実力を十分に証明していたフランス人アタッカーは、優れたカリスマ性と異次元のテクニックでユナイテッドの攻撃を牽引していった。
 
 一時は10位まで落ち込んだユナイテッドは、年明けには首位争いを演じる好チームへと変貌を遂げ、4月10日、シェフィールド・W戦をスティーブ・ブルースの劇的なロスタイム弾でモノにして首位に浮上した。
 
 怒涛の7連勝で、2位のアストン・ビラに勝点10の大差をつけてフィニッシュ。見事66-67シーズン以来のリーグ制覇を果たし、プレミアリーグ初代王者の座に君臨したのであった。
 
 この"圧勝"劇において、ファーガソンが進めてきた若手育成が重要なファクターとして機能したのは言うまでもない。とくにライアン・ギグスとリー・シャープは主軸として定位置を掴み、前者は公式戦でチーム2位の11ゴールを決めるなど、貴重な得点源として活躍した。
 
 さらにニッキー・バット、ガリー・ネビル、デイビッド・ベッカムら近未来のユナイテッドを背負って立つ逸材たちがトップチームデビューを飾るなど、この頃からファーガソンの長期展望に立ったチーム戦略が結実し始めたのである。
◎1992-93シーズン成績
リーグ:優勝(24勝12分け6敗・67得点31失点)
FAカップ:5回戦敗退(対シェフィールド・U)
リーグカップ(コカコーラカップ):3回戦敗退(対アストン・ビラ)
 
チーム内得点ランキング(プレミアリーグ):ヒューズ(15点)、ギグス(9点)、ギグス(9点)、マクレア(9点)、インス(6点)、ブルース(5点)、アーウィン(5点)、カンチェルスキス(3点)、ロブソン(1点)、シャープ(1点)、パーカー(1点)、パリスター(1点)、ダブリン(1得点)
 
◎主なトランスファー
◇IN
GK シーリー(←アストン・ビラ)
DF G・ネビル(←ユースから昇格)
MF バット(←ユースから昇格)
MF ベッカム(←ユースから昇格)
FWカントナ(←リーズ)
FW ダブリン(←ケンブリッジ)
 
◇OUT
DF ドナヒー(→チェルシー)
MF ウェブ(→ノッティンガム・F)
FW ロビンス(→ノーリッジ)
 
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