【高校選手権】青森山田1-2國學院久我山|劇的な逆転劇を導いた、澁谷と名倉の2年生コンビ。以心伝心の連係で「夏の王者」に挑む

2016年01月09日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

「名倉とは高1から一緒にやっているし、なんでも分かり合えている」(澁谷)

名倉とともに多くのチャンスに絡んだ澁谷(10番)。決勝ではゴールをを奪いたい。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 後半アディショナルタイムに劇的な逆転ゴールを奪い、初の決勝進出を決めた國學院久我山。DF山本研が放ったシュート性のクロスを、右足で合わせたMF戸田佳佑がこの日のヒーローなのは間違いないが、試合を通じて異彩を放っていたのが、FW澁谷雅也とMF名倉巧の2年生アタッカーコンビだった。

【選手権PHOTOハイライト】星稜×東福岡|青森山田×國學院久我山

 ともに身長は160センチ台で、チームの平均身長(171・4センチ)を下回る。青森山田には、190センチの近藤瑛佑、189センチの常田克人の両CBが揃い、高さやリーチでは圧倒的に不利だが、「ボールを大切にするサッカー」(名倉)の中心を担う彼らは、巧みな足もとの技術と味方との見事な連係で相手DFのマークをいとも簡単にかわし続けた。
 
「(高円宮杯)プレミアリーグを戦ってきただけあって、やっぱり強かったです」(名倉)と素直に相手の実力を認めつつも、この試合での決定機数は國學院久我山が上回った。もちろん、ピンチの数もそれなりにはあったが、前半に先制されても盛り返して同点に追いつき、最終的に逆転勝利へと持ち込めたのは、「チーム全員が恐れずに前に出る意識を徹底できていた」(澁谷)からに他ならない。

 その先頭に立つように、澁谷は1トップ、名倉はトップ下でボールを呼び込んでは、緩急自在なドリブルや巧みなターンを織り交ぜながら、ボールを前へと運び、青森山田の守備陣を何度も慌てさせた。

 後半27分には「狙いどおりだった」という股抜きドリブルを見せた名倉が自ら決定機を作ると、40分には名倉のパスに反応した澁谷がゴール前に持ち込み、GKをかわし左足でシュート。「ミートできなかった」(澁谷)というボールは大きく枠を外れたが、この2年生アタッカーコンビの存在感は試合が進むにつれ、際立っていった。

「名倉とは高1から一緒にやっているし、なんでも分かり合えている。欲しいところにボールが来たり、ワンツーで崩す場面にしても、イメージが共有できている気がしますね。そういったところは、チームの武器になるんじゃないかと」(澁谷)

 ついに辿り着いた決勝へ向けて、清々しい表情でこう語った澁谷はしかし、課題も口にした。

「どんなにチャンスを作ってもやっぱり決め切らないといけない。決勝ではしっかり決めたいですね」

 悲願の全国制覇を懸けて挑む相手は、「夏の王者」東福岡。この日のようにチャンスを外せば優勝は遠のく。だからこそ、自慢のパスワークで紡がれたチャンスは無駄にはできない。そう言わんばかりの覚悟を持って戦うファイナルでは果たして、澁谷、名倉の2年生アタッカーはどんなパフォーマンスをみせてくれるだろうか。

取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト)
 
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事