【クラブW杯】「お前は外さない」青山を突き動かした森保監督のメッセージ

2015年12月21日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「準決勝の敗戦をなしにして語ることはできないし、もっと強くならないといけない」

3位確保への強い執着心を見せ、現実のものとしてみせたが、リーベル戦の敗北も決して忘れてはいない。青山の言葉には勝負への強いこだわりがひしひしと感じられる。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 12月20日の広州恒大戦、勝利と3位決定を告げる試合終了のホイッスルが鳴り響いた瞬間、青山が咆哮しながらガッツポーズを繰り返す姿が印象的だった。試合前日、「3位で終わるのと4位で終わるのとでは、全然意味合いが違う」と話していただけに、アジア王者を下しての勝利に奮い立つものがあったのだろう。
 
 準決勝のリーベル戦で「自分はディフェンスしかできなかった」(青山)悔しさを、試合にぶつけるしかなかった。しかし、チームは開始わずか4分でセットプレーから失点。嫌な流れが立ち込めるなか、広島は広州恒大の攻撃に耐えながら、自分たちのペースが来るのを待った。
 
「ブロックを作ることは大事かもしれないけど、早い時間で失点して、自分たちからアクションを起こす必要があった。『しっかりディフェンスをしてから攻撃する』と、みんなで意思統一して戦えた」(青山)
 
 苦しい状況でも粘り強く戦い、チーム全員で反撃して勝利を掴む――。今季Jリーグを制した広島の中心には、常に青山の姿があった。広州恒大戦でも、元ブラジル代表のパウリーニョらに厳しいマークを受けながら、青山は懸命にピッチを駆け回っていたが、中核を担う自負が彼を突き動かしていたという。
 
「監督が信頼してくれて、『お前は絶対外さない』というメッセージを常々もらっている。自分が弱音を吐いてしまえば、チームは落ちていってしまうので、与えられた責任は最後までやり通そう、と。そういう意地は最後まで持っていた」
 
 試合終盤にドウグラスと途中出場の柏の活躍で逆転勝利を飾ったことは、「途中から出て来る選手が結果を出してくれる。そこがウチの強み」「自分たちは安定して力を出せるチーム」と評価しつつも、それでも試合後に口を突いたのは準決勝で敗れた悔しさだった。
 
「シーズンとしては良い1年だけど、この大会に限っては準決勝で負けてしまって、やっぱり悔しい。それ(敗戦)をなしにして語ることはできない。満足してしまえばこれで止まるだろうし、反省して、もうひとつ自分たちが強くならなければいけない」
 
 青山は10月のインタビューで「優勝を自分たちの伝統にしたい」と語っている。広島をより強く、より大きくしたい――。もはや、Jリーグのタイトルを獲るだけでは、満足はいかないのだ。誰よりも責任感の強い"闘将"の視線は、すでに12月26日の天皇杯準々決勝(FC東京戦)に向けられている。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
 
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